IDC Japanは9月14日、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。これによると、2020年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比15.3%増の1兆89億円になると予測しているほか、2019年~2024年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は18.6%で推移し、2024年の市場規模は2019年比2.4倍の2兆567億円になると予測している。
国内市場では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い「テレワークの導入」「デジタルビジネスの強化」など、喫緊の業務課題を解決するためにパブリッククラウドサービスを活用する企業が増加。一方、多くの企業がIT投資を抑制しており、導入プロジェクトの遅延も見られ、2020年の国内パブリッククラウドサービス市場は、成長が鈍化しているという。
現在、継続的に多様かつ大きな変化が短期間に起こる「ネクストノーマル」時代を迎えようとしていることから、業務を維持するための「事業継続」から、市場環境の変化に対応する「ビジネスレジリエンスの強化」へとこれまで以上にIT、特にクラウドの活用を検討する企業が増加している。
また、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)やデータ駆動型ビジネスに対する意識を高めており、ビジネスレジリエンスの強化とDX/データ駆動型ビジネスを抱合した「クラウドジャーニー」を中核にIT戦略を強化する企業が見られるとの認識を示している。
しかし、クラウドジャーニーでは「文化」「組織」「人材/スキル」の変革や強化が重要となるため、企業には多くの課題があるほか、企業のクラウドジャーニーを支援するベンダーの体制も十分ではないという。
2021年の国内パブリッククラウドサービス市場は需要の拡大に対して、これらの課題で成長が抑制されると推測。一方、2022年以降は、人材/スキルの不足を補うツールの発展や産業ノウハウの活用したソリューション化が進み、国内パブリッククラウドサービス市場は成長を加速させると予測している。
COVID-19の影響によって、企業のDX/データ駆動型ビジネスに対する意識は高まっており、クラウドあるいはベンダーに対する期待も変化が見られる。同社のITサービス リサーチディレクターである松本聡氏は「ベンダーは、製品/サービスの機能の強化だけではなく、企業のクラウドジャーニーを包括的に支援する体制の整備が重要となる」と分析している。