NTTコミュニケーションズ(NTT Com)と三井不動産は9月14日、都市における課題の解決や経済的な発展をICTで可能とする「安心安全な街づくり」の実現に向けた検証を同18日から開始すると発表した。

現在、同検証はPark-PFI制度(都市公園法改正により新たに設けられた、商業施設等の公園利用者の利便の向上を図る施設設置と、その収益を活用して周辺の整備・改修等を一体的に行う業者を公募により選定する「公募設置管理制度」のこと)を活用した事業としては、全国で最大規模の再整備が行われている名古屋市の久屋大通公園の北エリア・テレビ塔エリア(全長約900m、面積約5万4500平方メートル。 Hisaya-odori Park)における公園整備運営事業の一環として実施する。

公園内地下広場(旧もちの木広場)の防犯カメラ映像をNTT ComのAIを用いて解析し、防犯や事故防止に活用するほか、匿名化・統計化されたスマートフォンの位置情報データを用いて来園者の行動を解析し、施設運営やマーケティングに活用する実験を行う。

これまでNTTグループは札幌市、千葉市などで、データの利活用やMaaSなどをテーマにした取り組みを行っており、海外では米国ラスベガス市で街中のカメラ映像や各種センサーなどから収集したビッグデータを活用し、事故の防止や防犯に用いている。

三井不動産は、Hisaya-odori Parkの指定管理者として公園の維持管理を担い、安心安全で居心地の良い公園の運営を目指しおり、NTT Comと連携した今回の検証を通じて効率的で安全性の高い公園管理の取り組みを実現するという。

今回の検証はNTT Comが、Hisaya-odori Parkの指定管理者として公園運営に携わる三井不動産と共同し取り組み、公園整備運営事業の高度化に向けて、蓄積された両社のノウハウを活用しつつ、迷子の捜索や施設運営への応用など、Hisaya-odori Parkという場所の特性に合わせた最適化を行い、その有効性を検証する。

  • 検証のイメージ

    検証のイメージ

具体的には、映像データや位置情報データを閉域でセキュアなICT基盤に収集・蓄積し、AI技術などを用いて解析することで、安心安全な街づくりに向けたデータ利活用を推進する。

公園内地下広場に設置した防犯カメラ映像を、NTT ComのAIである「COTOHA」の映像解析エンジン「Takumi Eyes」でリアルタイムに解析し、同エンジンの全身照合、顔照合機能により、顔がはっきりと映っていない状況でも瞬時に人物を認識するほか、リアルタイム人物トラッキング機能などを活用することで、不審者の追跡や迷子の捜索などに迅速に対応可能な警備体制の実現を目指す。

加えて、車いす・白杖の物体検知機能によるサポートが必要な人の検知や、転倒検知機能による転倒・うずくまり動作の検知を行うとともに、人数カウント機能による混雑状況の把握などを行い、安心安全な公園運営を実現するという。

また、データワイズとの協業により、統計化されたスマートフォンの位置情報データを用いて、来園者の散策状況などについて、来園者満足度向上につなげる情報としての活用を目指す。

データワイズは公園運営を受託する三井不動産に、公園および周辺の混雑状況や来園者の訪問頻度などの位置情報解析技術をSaaS型ジオデモグラフィックダッシュボード「Datawise Area Marketer」を通じて提供。これにより、公園内の各施設における来園者層の違いやその行動パターンの違いなどを踏まえた、きめ細やかなサービス提供や施設運営が可能になるという。

検証の期間は9月18日~2021年2月末までを予定し、検証結果を活かし、自らの嗜好にあった店舗で飲食・ショッピングなどを安心安全に楽しめる、にぎわいと魅力にあふれた空間形成を目指す。

また、NTT Comのデータ利活用に必要な収集・蓄積・管理分析における機能をICTインフラも含めてワンストップで利用できるプラットフォーム「Smart Data Platform」を基盤とし、多くのパートナーと連携・協業していくことで、対象店舗や施設を2021年春以降順次拡大していく考えだ。