アクロニス・ジャパンは9月10日、オンラインによる記者説明会を開催した。

アクロニス・ジャパンは9月10日、オンラインによる記者説明会を開催し、「Acronis Cyber Protect 15」と「Acronis Cyber Backup 15」を発表した。

まず、アクロニス・ジャパン 代表取締役 嘉規邦伸氏は「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、クラウドサービスに舵が切られていることを肌で感じている。しかし、北米や他地域と比べるとクラウドサービスの導入が進んでいないのも現状だ。5月にはクラウド版のAcronis Cyber Protectを発表しており、今回の製品はオンプレミス環境に向けたライセンス型となる。これにより、クラウドからオンプレミスまで、セキュリティの機能を統合したスイート製品として提供できるようになった」と述べた。

  • アクロニス・ジャパン 代表取締役 嘉規邦伸氏

    アクロニス・ジャパン 代表取締役 嘉規邦伸氏

アクロニス・ジャパン プロダクト・マネージャーの伊藤安治氏はAcronis Cyber Protect 15について「これまでSaaSで提供していたが、オンプレミス、ハイブリッド環境での実装を可能とし、バックアップ、ディザスタリカバリ、AIベースのマルウェア/ランサムウェア保護、リモートデスクトップ、パッチ管理、サイバーセキュリティ、エンドポイント管理の各ツールを単一のソリューションに統合したクラウドサービス。単一の管理コンソールとエンドポイントのエージェントで実装ができることが大きな特徴だ」と説明する。

  • アクロニス・ジャパン プロダクト・マネージャーの伊藤安治氏

    アクロニス・ジャパン プロダクト・マネージャーの伊藤安治氏

これにより、IT管理者は容易な管理ができるとともにエージェントのインストレーションを含め、リモート対応が可能なほか、在宅勤務に必要不可欠なアプリへの優先パッチ適用、新型コロナウイル氏詐欺から保護するURLフィルタリング、Windowsベースマシンに対するリモートでの容易なワイプ、リモートデスクトップ接続、公共衛星に関連する追加のCPOCアラート、声制御のサイバーコンソールによるウイルス防御ができるという。

一方、Acronis Cyber Backup 15はAI、機械学習によるマルウェア/ランサムウェア対策、クリプトジャッキング対策を可能としている。

  • 両製品の概要

    両製品の概要

同社が公表している「Acronis Cyber Readiness Report(サイバーレディネスレポート)」では、新型コロナウイルス感染拡大が続く中、世界各国の3400社とリモートワーカーを対象に調査を実施。同レポートでは、調査対象の企業の92%がリモートワークを導入するにあたり、従業員向けのコラボレーションツール、プライバシー保護ソリューション、エンドポイント用サイバーセキュリティといった新しいテクノロジーを導入していると回答。

多数の異なるソリューションを使用して、企業ネットワークと新たなデバイスすべてにわたりデータの保護を管理する場合、費用と時間がかかり、管理が複雑になることが組織にとって課題になっているほか、統合が不十分であるため組織の防御体制にギャップが生じ、サイバー犯罪者によって悪用される可能性があると指摘。

同レポートの調査結果から、リモートワーカーを標的としたハッカーにより、フィッシング攻撃、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃、ビデオ会議に対する攻撃といった手口が頻繁に利用されている実態が明らかになっているという。

Zoom、Cisco Webex、Microsoft Teamsなどのアプリの普及が進む中、過去3か月間に39%の企業がビデオ会議に対する攻撃を経験しており、Ciscoにが発表したWebexアプリの脆弱性が攻撃者によって悪用された場合、潜在的に価値のあるコンテンツが開封、閲覧、窃取されたり、コンテンツが損なわれたりする可能性があるとの認識を示している。

コロナ禍ではランサムウェアなどのマルウェア攻撃も増加傾向にあり、サイバー攻撃が日常的に発生していると回答した企業は31%に達し、そのうち半数(50%)の企業が週に1回以上の頻度で標的となっており、7月にはGPSテクノロジーの大手メーカーがランサムウェア「WastedLocker」の攻撃を受けて1000万ドルの身代金を支払ったといわれおり、同社のサイバープロテクションオペレーションセンター(CPOC)によると、Acronis Cyber Protectが導入されていない顧客のエンドポイントの35%が未解決のマルウェア攻撃の脅威にさらされているという。

同社のこれらの調査結果と外部による調査から、複雑さを軽減し、リモートワーク環境をサポートするセキュリティを強化するためのサイバープロテクションソリューションが組織にとって必要な理由が明らかになっており、費用対効果に優れ、リモートワーカーの増減に対処できることが求められている。

嘉規氏は「ZoomやTeamsの脆弱性が報告されており、なかなか対応できていないのが現状だ。新型ウイルスの感染拡大に伴う急激な環境の変化によるサイバー攻撃に対して、どのようにサポートできるかを考えて開発に取り組んできた。バックアップのみならず、必要なセキュリティ機能を具備したエージェントを開発し、オンリーワンの製品となっている」と力を込めていた。

価格はAcronis Cyber Protect EssentialsのSeverで年額3万7900円、Acronis Cyber Backup StandardのServerで同5万4900円。

  • 価格表

    価格表