東急不動産と鹿島建設が共同開発を進めてきた都市型スマートビル「東京ポートシティ竹芝」が2020年9月14日に開業する。開業に先駆け両社は9月9日、メディア向けにスマートビルの説明会および内覧会を開催した。

開業にあたって、東急不動産 代表取締役社長 岡田正志氏は「空と海の玄関地である竹芝エリアは、ビジネスに適した都内でも希少な立地だ。「東京ポートシティ竹芝」においてスマートビルの構築に取り組んだ結果、テクノロジーの活用により人の混雑回避や、非接触なワークスタイルを実現することができた。今後も、さまざまな実証実験を行い竹芝が都心型スマートシティの先進都市として、東京の国際競争力をより一層高めることができると確信している」とコメントした。

  • 東急不動産 代表取締役社長 岡田正志氏

「東京ポートシティ竹芝」は、東京都竹芝エリアをデジタルとコンテンツ産業の集積による国際ビジネス拠点とすることを目指したスマートシティ構想『スマートシティ竹芝』プロジェクトの第一弾として開業される。

同プロジェクトは、東急不動産、鹿島建設、ソフトバンクなど5者が共同で推進するもので「スマート東京（東京版society5.0）」を推進する先行モデル構築として東京都が採択した3つの事業のうちの一つだ。

説明会にて東京都都知事 小池百合子氏はVTRで登壇し以下のようにコメントした。

「都はこれまで東京の魅力と活力を高め国際競争力を一層強化することを目的として複数の都有地を官民連携で一体的に活用する『都市再生プロジェクト』を進めてきた。東京ポートシティ竹芝が竹芝地区のみならず、東京の持続的な成長を支えリードする存在となることを期待している」

  • 東京都都知事 小池百合子氏

「東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー」には、センシングデバイスとエッジ解析によりビル内のあらゆるデータをソフトバンクが開発したプラットフォームに収集し、リアルタイムに処理・配信する機能が搭載されている。

館内に設置しているAIカメラや3Dセンサーなどから取得するリアルタイムデータの活用と最先端のテクノロジーを搭載することで、ビル内施設や飲食店舗での混雑回避に貢献し、快適な行動の支援、効率的なビル管理、さらには店舗テナントのマーケティング支援を実現するとしている。

具体的には、エレベーターや共用スペース、飲食店舗エリア、トイレの混雑状況を検知し、館内約30カ所のデジタルサイネージやオフィスワーカー専用アプリでリアルタイムに配信を行う。

  • 館内の混雑状況をサイネージで確認

  • オフィスワーカーは専用アプリで確認

また、顔認証ゲートと自動的に目的階まで案内するシステム「エレナビ」を連携させたエレベーターにより、完全非接触で効率的に移動することができる。

  • 顔認証ゲート

  • 顔認証すると

  • 従業員データをもとに1番早く到着するエレベーターの番号を示す

  • ボタンを押すことなく完全非接触で目的地まで行ける

BM(ビルマネージメント)の観点でもリアルタイムデータ活用は有効だという。「スマートBMアプリ」によって人流やヒートマップ、警備員の位置情報、要注意人物検知などを一時兼的に可視化することででき、BM業務のサポートにつながる。

  • 館内のカメラデータから要注意人物を自動検知

また同ビルは、さまざまなロボットを活用した業務効率化を目指している。コンビニの陳列業務を担うロボット「Model-T」 や、遠隔地へ非接触での荷物運搬が可能になる配送ロボット「Cuboidくん」、警備業務を効率化する警備ロボット「SQ-2」などを導入している。

  • 警備ロボット「SQ-2」頭上の黒いセンサーがクルクル回っている

  • 缶コーヒーを運ぶ「Cuboidくん」

また、同オフィスタワーには、ソフトバンクが新社屋を構えるほか、官民合築により新装した東京都立産業貿易センター(浜松町館)、店舗やホール、スタジオなどの施設が備えられている。

説明会ではソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内謙氏も登壇し「スマートシティの構築には3段階あり現在は段階1でスタート地点だと考える」と考えを示した。

  • ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内謙氏

同オフィスタワーには5Gが完全実装されており、今後はさらに5Gを活用したソリューションに向けさまざまな実証実験を進める方針だ。

「今後色々なパートナーとの連携や5Gなどのテクノロジーの活用を通じて、最先端のテクノロジーを体験出来る場として竹芝を盛り上げていきたいと思っている『驚きと感動のある街を、ここから。』というコンセプトを掲げ、本プロジェクトを引き続き推進していきたい」(宮内氏)