デルとEMCジャパンが8月1日に統合し、デル・テクノロジーズ株式会社になったことを受け、デル・テクノロジーズは9月10日、事業方針説明会をオンラインで開催した。

米Dellと米EMCが統合し、新会社「Dell Technologies」が誕生したのは2016年9月だ。しかし、日本はデルとEMCジャパンという別々の法人が存在し、統合に向けた作業を進めてきた。9月10日の説明会で、デル・テクノロジーズ 代表取締役社長 大塚俊彦氏はこの期間を「バーチャルOneカンパニー体制」と呼んだ。

  • デル・テクノロジーズ 代表取締役社長 大塚俊彦氏

説明会で同氏は、統合に向けたフェーズを、2017~2019年のフェーズ1と2020年以降のフェーズ2に分けて説明した。

  • 統合に向けた2つのフェース

フェーズ1では「継続性重視 + 両社の強みの最大化」を目的に、市場カバレージの拡大、パートナーとの協業拡大、製品サポート体制の拡充、デジタル変革推進の基盤を図ったという。

「2017年からのフェーズ1では、バーチャルOneカンパニー体制でやり、両社の強みを生かすために統合を進め、お客様の継続性の担保、シナジーの最大化に努めてきた。コスト削減を目的にせず、5つのカルチャー(Customers, Winning Together, Innovation, Results, Integrity)の浸透を図ってきた」(大塚氏)

  • フェース1での実施内容

昨年からのフェース2では、フェーズ1で作ってきた土台の上に、産業別の営業体制、新規顧客開発部隊の創設などの営業体制の統合・変革、パートナーとの協業進化、End to Endサービスの実現、「Win in New Normal」の推進などの新しい価値提供の創出を図っていくという。

「ファーズ2では組織を再編し、8月に両社を統合し、来年にはオフィスを統合して統合から融合へと進化させている。キーワードは進化と革新で、最大のポテンシャルを発揮するフェーズに入っている」(大塚氏)

  • フェース2での実施内容

大塚氏は、今後はIoT/Edge Computing 、Analytics、Software-Defined Architectures、Hybrid、Multi-Cloud、Security & Data Protection、AI/MLといったテクノロジーの飛躍的進化とともに、新しい市場機会として、生産性向上、デジタルガバメント、自動運転、キャッシュレス決済、5Gが同時進行で拡大していくとした上で、「これらの市場機会はお客様に貢献できるチャンスであり、今後の大きなテーマにしていきたい。With、コロナ、After コロナを見据えて、トータルコスト削減、俊敏性・生産性の向上、事業継続の保証、新たな収益源の確立をしてしていくことが、新しい時代に向けた競争力強化になる」と語った。

  • 日本における新しい市場機会が、同時並行的に進行

そのために新しい時代を勝ち抜くIT変革の4本柱として、ITの競争力強化、xFH(Work From Home)の実現、デジタル競争力の確立、社会インフラの変革を進めていくという。

  • IT 変革の4本柱

IT変革の4本柱については、デル・テクノロジーズ 最高技術責任者 黒田晴彦氏が説明。

同氏は、IT競争強化ではコスト削減と俊敏性を両方を実現するため、顧客の財務、戦略、テクノロジーを見据え、ロードマップを提供。そして、Dell Technologiesテクノロジーポートフォリオ、Dell Technologiesサービス、Dellファイナンシャルサービスの3つを提供していくという。

  • デル・テクノロジーズ 最高技術責任者 黒田晴彦氏

xFHでは、在宅勤務の生産性向上のための「どこでもオフィス実現のための8ステップ(ソリューション選定)」を実施するという。

そして、デジタル競争力の確立では、ビジネスモデルとITを一体化し、データドリブン経営、ITリソースの最適化、ビジネスへの素早い対応へのソリューションを提供。社会インフラの変革では、リアルな人の接触だけでなく、デジタルによる接触を推進するため、パートナーと協力し社会基盤のデジタル化支援を行っていくという。

  • どこでもオフィス実現のための8ステップ

  • 新しい社会インフラソリューションのアーキテクチャ

大塚氏は、2社が統合したことによる効果として、製品ポートフォリオの拡大とビジネスモデルの融合の2つを挙げた。

製品ポートフォリオの拡大では製品群がEnd to Endで揃い、1つの顧客に対してより多くの製品を提供できるようになった点がメリットで、ビジネスモデルの融合では、デルの広いマーケットをカバーしていくインサイドセールスの存在、EMCジャパンには大規模企業を中心にしたハイタッチ営業の強みがあり、両社のビジネスモデルを合わせることで、シナジーが出ているとした。

そして、今後の市場について大塚氏は、「コロナ禍でも7割の企業はIT変革の継続、拡大を計画しており、デジタル変革への意識は高まっており、今後拡大していく」と見通しを語った。