IC Insightsは、TSMC、Intel、STMicroelectronicsのそれぞれの代表的な半導体3社の第3四半期ガイダンスと、市場動向などを踏まえた第4四半期の予測を組み合わせた予測を行った結果、2020年下半期の主要半導体企業各社の業績は明暗がはっきりと分かれる結果になりそうだとの予測を発表した。

勢いが止まらないTSMC

TSMCは2020年通年の売り上げ予測が前年比20%を超すと予測しているが、IC Insightsでは、下半期の売上高は上期比で8%増、通年でも前年比24%増と新型コロナウイルスの世界的な感染拡大がいまだに続く中においても、高い成長を遂げるとみている。

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    TSMCの2019年と2020年の四半期ごとの売上高推移(2020年第3四半期と第4四半期は予測) (出所:IC Insights)

下半期の成長の原動力の1つが、Appleの次世代iPhone向け5nmプロセス採用アプリケーションプロセッサの大量生産である。すでに同社は7nmプロセス製品の生産数が10億個を超すなど、先端プロセスに対するニーズを一手に引き受けており、5nmプロセスでもAppleに限らず引く手あまたの状況が続くことが期待されており、下半期だけで5nmプロセス製品による売り上げが全体の約35%を占め、2020年通年で見ても、総売上高の8%を占めると予測している。

下半期に減速するIntel、下半期に急成長するST

一方、世界最大の半導体サプライヤであるIntelは、2020年第2四半期の業績発表において、2020年通年の売上高成長見通しを前年比4%増としているが、下半期の売上高については、上半期比10%減と予測している。この軟化の理由についてIntelは、上半期に貿易問題を考慮して在庫を積み増した顧客があり、その在庫を捌くことが優先されるためとみている。

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    Intelの2019年と2020年の四半期ごとの売上高推移(2020年第3四半期と第4四半期は予測) (出所:IC Insights)

逆に世界4位のアナログICサプライヤであるSTMicroelectronicsは、2020年下半期に大きな期待を寄せている。というのも、同社の売上高は2020年上半期、2019年下半期比で19%減という落ち込みを見せたためである。そのため、2020年下半期は上半期比19%増と、業績が回復すると予測している。

背景として、上半期弱かった自動車分野が反発することが期待されているほか、産業分野も世界的に安定した需要が期待できるためだが、上半期の落ち込みがあまりにも大きいため、同社の通年売上高は前年比1%減となると予想されるという。

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    STMicroelectronicsの2019年と2020年の四半期ごとの売上高推移(2020年第3四半期と第4四半期は予測) (出所:IC Insights)