シャープは9月7日、開発したプラズマクラスター技術搭載ウイルス試験装置を用いることで、空気中に浮遊する「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)」に対し、プラズマクラスターイオンを約30秒照射することで、感染価を90%以上減少させることを確認したと発表した。
同成果は、同社ならびに長崎大学感染症共同研究拠点 の安田二朗 教授(兼 熱帯医学研究所教授)、同研究拠点 の南保明日香 教授(日本ウイルス学会理事)、および島根大学医学部の吉山裕規 教授(日本ウイルス学会理事)との4月より進めてきた共同研究によるもので、実際の効果検証の実験を行ったのは安田教授だという。
具体的には、容積約3Lの密閉空間に新型コロナウイルスに感染した細胞から調整し、一番飛沫として飛ぶと考えられている粒形平均2μmのウイルス液を噴霧。そのウイルス液に対し、約1000万個/cm3(発生装置の噴出口付近。市販製品の5~10倍程度の濃度)発生できる研究用プラズマクラスターイオン発生装置からプラズマクラスターイオンを30秒ほど照射後、それをすべて回収し、改修したウイルス液からウイルス感染価をプラーク法により算出した。
この結果、感染性ウイルスの数(プラーク数)は、プラズマクラスターイオン照射なしの場合(1.76×104pfu)に対し、1桁低い照射した場合は1.54×103pfuと91.3%の減少率を確認したとする。
なお、同社では、今回の試験は限られた狭い範囲を対象としたステップ1の試験としており、今後、より実際の使用空間に近い条件での効果検証を段階を踏んで進めていきたいとする一方で、市販のプラズマクラスターイオン搭載製品での実証ではないことなどもあり、ただちに市販されている商品を使って効果が発揮できるとは限らないとしており、実際に実験を行った安田教授も、「今後、シャープが今回の成果を踏まえ、どのような商品を作っていくのかよってくる部分」とし、必ずしも、今回の研究がすぐに市販レベルの製品についての効果をうたうものではないとしている。