ソーラーウインズ・ジャパンは9月1日、オンラインによる記者説明会を開催した。説明会では国内IT市場のトレンドを踏まえた同社のソリューションが紹介され、ソーラーウインズ・ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏と、米SolarWinds Head Geekのサシャ・ギース氏が出席した。

まず、サシャ氏は日本市場の調査結果を引き合いに出し「2020年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本におけるIT予算は5~6%削減されており、IT管理者などは創意工夫をしながら作業をせざるを得ない状況だ。また、DXの加速により、アプリケーションを支えるインフラの改善が重要なため、ハイブリッドクラウドの採用が進んでいるものの、セキュリティは後回しになり、追いついていない」と指摘する。

  • 米SolarWinds Head Geekのサシャ・ギース氏

    米SolarWinds Head Geekのサシャ・ギース氏

また、データへの依存とデータの保存・処理、アクセスを付与するアプリケーションは増加し、複雑性を招く要因となっている。グローバルにおいて、ITチームの業務の29%はデジタルパフォーマンスの問題に対処するために費やされ、問題を解決するために年間250万ドルのコストが発生しているという。

同氏は「アプリケーションをデリバリするためには、ネットワーク、ストレージ、サーバ、ミドルウェア/ランタイム、OS、データベースがあるが、どの部分でも問題が発生すればアプリケーションも影響を受ける。そして、近年ではITの環境も大きく変化しており、IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)と、SaaS(Software as a Service)をオンプレミスで連携させると複雑性はさらに増す」と話す。

こうした状況に対して、同社ではアプリケーションパフォーマンス管理、データベースパフォーマンス管理、システム管理、ネットワーク管理、ITセキュリティ、ITサービス管理をはじめ、55を超える包括的なIT運用管理製品(ITOM)を提供し、それぞれの領域の製品が紹介された。サシャ氏は「これらの製品はIT管理向けのプラットフォーム『Orion Platform』で提供されており、要件が増えていくにつれてシステムを拡大させていくことができる」と話す。

  • 包括的なIT運用管理(ITOM)製品のポートフォリオを備える

    包括的なIT運用管理(ITOM)製品のポートフォリオを備える

  • 製品の一覧(一部)

    製品の一覧(一部)

アプリケーションパフォーマンス管理では、Server & Application Monitor(SAM)とAppOptics(SaaS)の2つ。SAMは、プライベート/パブリック/ハイブリッドの各クラウド環境において、1200以上の監視テンプレートでアプリケーションとサーバのパフォーマンスを監視。サーバの継続的な監視、ハイブリッドITデータのクロススタック相関、カスタムアプリケーションの柔軟な監視を実現するという。AppOpticsはAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、およびハイブリッド環境におけるアプリケーションパフォーマンス問題の根本的な原因の特定を加速化するとしている。

  • Server & Application Monitor(SAM)の概要

    Server & Application Monitor(SAM)の概要

データベースパフォーマンス管理については、Database Performance Analyzer(DPA)、Database Performance Monitor(DPM)の2製品。DPAはSQLクエリのパフォーマンス監視、分析、チューニングのために構築されたデータベース管理ソフトウェア、DPMはオープンシステムとNoSQLデータベースのためのデータベース・パフォーマンス監視と最適化を実現するという。

  • Database Performance Analyzer(DPA)の概要

    Database Performance Analyzer(DPA)の概要

システム管理に関しては、Virtualization Manager(VMAN)とStorage Resource Monitor(SRM)となる。VMANは、括的な仮想マシン(VM)監視、パフォーマンス管理、容量計画および最適化を行うことに加え、SRMはマルチベンダーストレージの健全性、パフォーマンス、容量に関するストレージリソース管理レポートを提供する。

  • Virtualization Manager(VMAN)の概要

    Virtualization Manager(VMAN)の概要

ネットワーク管理は、Network Performance Monitor(NPM)、Network Configuration Manager(NCM)の2種類。NPMはオンプレミス、ハイブリッド、クラウドを包括的にカバーするネットワーク監視ツールで、平均的な停止期間をITプロフェッショナルが短縮できるように設計。複雑な設定をすることなく、パフォーマンスの問題を検出、診断、解決するための使いやすい機能を提供している。NCMは、自動化されたネットワーク構成管理とバックアップにより、作業時間を短縮し、コンプライアンスを維持するとしている。

  • Network Performance Monitor(NPM)の概要

    Network Performance Monitor(NPM)の概要

ITセキュリティでは、Access Rights Manager(ARM)とSecurity Event Manager(SEM)の2つ。ITインフラストラクチャ全体におけるアクセス権の管理・監査するほか、SEMは軽量ですぐに利用できる低価格なセキュリティ情報およびイベント管理ソリューションで、セキュリティ体制を改善し、コンプライアンスを迅速に実証するという。

  • Access Rights Manager(ARM)の概要

    Access Rights Manager(ARM)の概要

ITサービス管理については、SolarWinds Service Desk(SWSD)、Web Help Deskの2製品。SWSDは、従業員向けサービスの管理を成功させるために何が必要かを熟知しているITサービスマネジメント(ITSM)ソリューション、Web Help Deskはヘルプデスクのチケット発行およびITアセット管理ソフトウェアとなる。

  • SolarWinds Service Desk(SWSD)の概要

    SolarWinds Service Desk(SWSD)の概要

そして、15万人以上が登録するコミュニティサイト「THWACK」において、ユーザーとコンテンツ交換やレビューの投稿・閲覧、製品ロードマップの閲覧、追加機能のリクエスト・投票などを行っている。

  • THWACKの概要

    THWACKの概要

河村氏は「今後、オンプレミスとプライベートクラウド、パブリッククラウドが共存する環境が続くことが予測されているため、包括的に管理するソリューションが必要だ。各分野の管理者に対して共通のスキームを提供し、多様な環境を1つのツールで管理・管理を実現していく。日本はコロナ禍により、政府関係のIT化の遅れを露呈しており、ある調査によるとリモートワークの準備が整っている企業は全体の2割だと報告されてもいる。そのため、われわれは日本市場に貢献していく」と意気込みを語っていた。

  • ソーラーウインズ・ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏

    ソーラーウインズ・ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏