Samsung Electronicsは8月30日、韓国平澤(ピョンテク)事業所の第2棟におけるDRAM生産ラインが稼働を始め、EUVを用いた16GビットLPDDR5モバイルDRAMの量産を開始したことを発表した。
同社のDRAM向け第3世代10nmプロセスである1z-nmプロセス(公表されてはいないが16~15nmプロセスとみられている)に基づいて製造され、高いパフォーマンスと容量を次世代スマートフォンに提供すると同社では説明している。
平澤事業所 第2棟(社内ではライン2と呼んでいる)は、延べ床面積12万8900m2の広さをもつ巨大な製造ライン。同社における最先端半導体技術の主要製造ハブとして機能し、最先端DRAMに続いて次世代のV-NAND(3D NANDの同社の呼称)および先端ロジックファウンドリサービスを提供する予定だとしている。
他社はEUV採用DRAMの生産を2021年より予定
Samsung以外のDRAMサプライヤは、EUVを量産に適用するのは早くても2021年の1α-nm(1Z-nmの次の世代)以降とみられており、Samsungは急いでEUVをDRAMに適用する必要性はそれほど高くない。今回の発表の背景には、半導体業界で囁かれるファウンドリサービスにおけるEUVを用いた5nmプロセスの歩留まり低迷についての噂を払拭し、SamsungにおけるEUVプロセスが十分に立ち上がっていることを誇示する狙いがあるのではないかと考えられる。
先端モバイルに最適な性能と薄さを実現
今回量産を開始したLPDDR5の転送速度は6400Mb/sで、現在、ほとんど主要なモバイルデバイスで見られる12GビットLPDDR5(5500Mb/s)よりも約16%高速であるという。また、そのパッケージは従来品比で30%薄く、5Gスマホやマルチカメラスマホ、さらに折りたたみ式デバイスでより多くの機能をスリムなデザインにまとめることができるように設計したという。このため、同製品では8チップで16GBパッケージを構築できるが、1y-nmベース品の場合、同じ容量を提供するために12チップ(8個の12Gビット品と4個の8Gビット品)を必要としていた。
なお、Samsung ElectronicsのDRAM Product&TechnologyのエグゼクティブバイスプレジデントであるJung-bae Lee氏は「1Z-nmベースの16GビットLPDDR5は、先進ノードでのDRAMスケーリングにおけるハードルを克服するものである。Samsungは、メモリ市場全体の成長をリードするため、引き続きプレミアムDRAMラインナップを拡大し、顧客の要求にこたえていく」とDRAMにおけるEUVの重要性を述べている。