科学技術振興機構(JST)は8月25日、今年度の国際科学オリンピックの状況についての説明会を開催。8月11日~12日にかけて開催された国際生物学オリンピック(IBO)のオンライン大会「IBO2020リモート大会(IBOチャレンジ2020)」にて、日本は4名が参加し、金メダルを1名が、銀メダルを3名が受賞したことを発表した。
IBOチャレンジ2020は、新型コロナウイルス拡大の影響により、2020年7月に長崎で開催を予定していたIBO2020に代わる大会として、国際生物学オリンピックとして初の試みとなったリモート大会。同大会には、53か国・地域から202名の中・高校生が参加し、生物学に関する実験課題試験と理論課題試験(筆記試験)に挑んだ。
国際科学オリンピックは通例として、「数学」「化学」「生物学」「物理」「情報」「地学」「地理」の7教科が開催されるが、2020年度は4教科がリモート開催、3教科が延期もしくは中止となっている。2021年度については、8月25日時点では7教科ともに開催に向けた調整が進められているという。
IBOチャレンジ2020は、IBO初のオンライン開催となったが、開催方法については、その公平性を保つために、以下のようなハード/ソフト両面での工夫が施されたという。
- 公平性を保ちながら試験を受ける環境作りは、各国の事情に配慮
- 公正な試験を行うために、ジュリーおよび生徒の両方に宣誓する儀式を行う
- 問題は印刷物、またはPDFで提供。ただし、実験試験はオンラインでの問題提供が必須。回答はマークシート用紙をPDFにして予め送付、選手は印刷物で回答
また、開催はオンラインだが、金・銀・銅の各メダルは実物が受賞生徒に送付された。さらに、従来は各国からの生徒が集まって行われていた国際生徒交流についても、オンライン大会での実施を模索。1グループを選手4名(別々の国)+ファシリテーター1名(IBOのOB/OG)で構成し、「進化」「多様性と海洋」「ゲノム編集」「感染症」の4種類のテーマから選択し、2020年10月末までにポスターなどを作成、データとして実行委員会に提出。主催国にて審査を行い、結果をWebサイトで公開することを予定している。
なお、今回のオンライン開催を経て運営側は、現地で行わなければならない事柄は何なのかを今一度改めて考え、よりよいものにしていく必要性を感じたという。また、オンライン開催によって、より多くの人に参加の機会の提供につながったこともあり、新たな教育スタイルや国際大会のスタイルを模索していくべきであると感じたという。