KDDIは8月20日、デジタル活用による新たな店舗体験への取り組みに関してのオンライン記者会見を開催し、機種変更手続きにおいて事前にオンラインで機種とプランを選び、店頭にてセルフで手続き可能なサービスについて発表した。同サービスは、2020年8月26日にオープンする「au みなとみらい」にて導入される予定。
顧客体験の向上に必要なモノとは?
同社は、CX(Customer Experience:顧客体験)を向上させるため2015年より、Webやアプリから来店予約ができる「au STAR 来店予約」や、店頭で待ち時間なくセルフで手続き可能なキオスク端末「au SaKuTTO」などを、すべての店舗(直営店・auショップ・家電量販店)で導入している。
一方で、約4割の顧客が「店内が混雑していて待ち時間が長い」ことに最も不満を感じ、店舗体験において重視していることが同社の調査(※1)で分かった。
しかし、同調査において約5割の顧客が、店舗体験で最も重視することの質問に対して「不明点を丁寧に説明してくれること」や「対応が優れていること」など、丁寧な接客を求める回答をしている。つまり、顧客は手続き時間の短縮を求めつつも、スタッフからの新しい提案や丁寧な説明を期待していることが分かった。
(※1)調査期間:2020年8月 KDDI調べ (n=2,000、単一回答)
さらに、同調査の携帯電話の手続きに関する意向については、約7割の顧客が店頭での対応を希望しており、残りの約3割がオンラインショップなどのネット上での手続きを希望していることが分かった。
松田氏は、同調査の結果を受け、「顧客体験の向上において、店舗とオンラインの融合度合いが重要だと考える。オンラインとの融合により効率性を高め、スタッフによる丁寧で新しい発見につながる接客を維持しながら、お客様にワクワクする体験を提供していきたい」と見解を示した。
オンライン・セルフ手続きで時間コスト50%削減
同社が今回発表した同サービスにより、携帯電話の機種変更において、専用アプリからオンラインで機種とプランを事前に選び、店頭にてセルフで手続きすることができる。
具体的には、時間が空いている時に、専用アプリで機種を選ぶ時のこだわりや、使用頻度、想定データ使用量(現在のデータ使用料が表示されて参考にできる)などを記入することで、アプリ内で条件に合った機種・プランが表示される。
また、一番条件に合ったプランだけでなく、少し欲張ったプランや少し控え目なプランとして別候補のプランが2つ提案され、利用客の選択肢が広がってCXが向上するとしている。
店頭での手続きの流れは、セルフ手続きカウンターにて手続きを開始し、アプリで発行されたQRコードを読み込むことで、事前に組み立てたプランの確認ができる。これにより、手続き時間を短縮するほか、従来の事前に電話などで説明した内容を、もう一度店頭スタッフに説明するといった手間を省くことが可能だ。契約と相談の時のみ、店内スタッフが対応を行う。
松田氏は、「来店後の顧客体験も重視しており、最短20分程度で機種変更の契約が完了するシステム設計になっている。従来の機種変更の手続き時間と比較すると、お客様にも依存するが、平均的に50%の削減が見込まれる」と説明した。
今後の展開について黒井氏は「具体的な数字はまだ未定だが、au みなとみらいから始め、横展開も考えている。仕組み自体をどのように改良していくかという点と、お客様の反応を見たうえでこれからの展開を継続検討したい」と説明した。