アイ・ティ・アール(ITR)は8月18日、国内のWeb会議市場規模推移および予測を発表した。
今回の発表は、コラボレーション・スイート市場、コンテンツ・コラボレーション市場、ファイル転送市場、Web会議市場の国内全45ベンダーへの調査に基づいた、2018~2019年度売上げ実績および2024年度までの売上げを予測したもの。
それによると、Web会議市場の2019年度の売上金額は111億4,000万円で、前年度比22.8%の大幅増となり、市場に影響力のある上位ベンダーを含め、ほとんどのベンダーが大きく売上げを伸ばしたという。
多拠点化の進展やテレワークの推進をトリガーとしてWeb会議の需要が年々高まっているうえ、特に新型コロナウイルス感染対策の主要な手段として爆発的に導入されたことや、ウェビナーや大規模イベントなど不特定多数に対する情報提供の手段としても導入が進んでいることを要因として挙げている。
コロナ禍の収束や対策意識の低下による一定数の解約、一部ベンダーの撤退により淘汰が進みつつあるなど市場の成長を阻害する要因はあるものの、急激な導入数の増加や急速な認知度の向上に対しては、その影響は限定的であることから、同市場のCAGR(2019~2024年度)は26.7%の高成長、2023年度には2019年度の3倍の市場規模になると予測している。
ITRのシニア・アナリスト舘野真人氏は、次のようにコメントしている。「Web会議は、今回のコロナ禍に伴う在宅勤務の拡大によって最も注目が集まったITソリューションのひとつです。会議や商談だけでなく、採用面接や教育・研修、イベント/セミナーなど、人の移動が制限されるなかで多目的なコミュニケーション・ツールとして利用されるようになったことが市場拡大の要因と見られます。とりわけ、一般消費者において人気が高いZOOMは、通信品質とユーザビリティの高さが評価され、法人市場でも売上げを大きく拡大させました。一方で、急激な需要の拡大により、ベンダー各社はインフラ増強や機能拡張のプレッシャーにさらされています。競争力の乏しいベンダーが、今後市場からの撤退を余儀なくされることも十分に考えられます」