IBMは8月17日(米国時間)、次世代POWERプロセッサとなる「IBM POWER10」を発表した。

同プロセッサはSamsung Electronicsの7nmプロセスを用いて製造され、行列計算アクセラレータを搭載することで、前世代「IBM POWER9」と比較して、ソケットあたり32ビット単精度浮動小数点演算(FP32)で10倍、16ビット半精度2進浮動小数点演算(BFloat16)で15倍、8ビット整数演算(INT8)で20倍の処理速度向上が期待されるほか、ソケットあたりのエネルギー効率、ならびにワークロード・キャパシティ、ハイブリッドクラウド・ワークロードのOpenShiftコンテナ密度を最大で3倍に高めることができるようになるという。

また、一度有効化されると、クラスタ内にある任意のPOWER10プロセッサ搭載システムが相互のメモリにアクセスして共有することを可能にする新技術「Memory Inception」を採用。これにより、マルチペタバイト級のメモリ・クラスタが利用可能になり、SAPやSAS InstituteなどのISVや大規模なAIモデルの推論のようなメモリ集約型ワークロードに対して、クラウドのキャパシティを高めることが可能になったという。

さらにエンドツーエンドのセキュリティをサポートする透過的なメモリ暗号化を搭載したほか、需要の高い暗号化規格や耐量子暗号/完全準同型暗号といった将来の暗号化規格に対応したAES暗号化エンジンについては前世代比でコアあたり4倍に増やしており、暗号化規格を使用した同社の社内テストの測定結果によると、前世代比で40%の高速化を確認したという。

なお、POWER10プロセッサ搭載サーバは、ハードウェアとRed Hatソフトウェアとが互いに最適化された形で2021年下半期に提供を開始する予定だという。

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  • Samsungの7nmプロセスを採用したIBM POWER10のウェハ