Twitter Japanは8月27日、メディア向けにオンライン説明会を開催し、Twitterを活用した防災や災害時の対応などについての紹介を行った。
Twitter Japanでは、ライフラインとしてのTwitterを目指し、さまざまな企業や団体と連携し、「Twitter災害連絡会議」を結成している。気象庁や、日本赤十字社、Yahoo!ニュースなど14者が参加しており、これらすべてのアカウントのフォロワーを合わせると1000万人を超えるという。
「Twitterの強みは、誰もがリアルタイムに情報を吸収することができ、誰もがリアルタイムに情報を発信できること。Twitterを活用することで『減災・防災情報の周知・啓発』『迅速かつ的確な情報の発信・拡散』『情報の整理とコミュケーション』を実現することができる」と、Twitter Japan 公共政策本部長 服部聡氏は語る。
オンライン説明会では、防災や災害時におけるTwitterを活用した取り組みとして、「減災リポート」と「救助要請ツイート」が紹介された。
「減災リポート」はTwitter Japanとウェザーニューズが共同で行う取り組みで、Twitterの一般ユーザーによる情報発信を活用している。具体的には、ユーザーが自然災害による被害状況の説明と撮影した写真、位置情報とともに「#減災リポート」を入れてツイートすると、自動的にツイート内容をシステムが読み込み地図上に反映する(※1)。
Twitterの一般ユーザーやウェザーニューズの会員は地図上の #マーク をタップすることで、その場所で起きた災害に関する情報を得ることができる。マスメディアが取り上げにくいニッチな災害・減災情報もあるので、一般市民だけでなく市区町村役員なども、同サービスを活用することで、迅速で適切な対応につなげることができるとしている。
(※1):鍵のついているアカウントでのツイートは対象外
「救助要請ツイート」は、ユーザーが救助を必要とする際、110番・119番の次に活用を想定している予備の救援要請方法だ。服部氏は、「できるだけ多くの人々に救援の声を上げることで手段が広がり、救助されやすくなると期待している」といい救助要請ツイートの認知・活用を促している。
その方法は、鍵のついているアカウントは鍵を外した上で救助要請の内容を具体的に書き、可能であれば現在地の正確な場所、状況が伝わる写真とともに、「#救助」をつけてツイートする。救助された後は混乱を避けるためツイート削除をする。
服部氏は、政府や自治体、特にコミュニティのリーダーの立場からすると情報発信・拡散することが重要だという。
「コミュニティのリーダーから、最新の情報、市民に落ち着いてもらうための励ましのメッセージを発信することで、少しでも多くの人々に安心してもらう、正しい情報を受信してもらうことが可能だ」(服部氏)
実際に、長野県で2019年10月13日に発生した台風19号による豪雨災害の際、救助要請ツイートした市民に対して、長野県防災のTwitter公式アカウントでは「絶対に助ける!下向かず、あきらめず!私たちが県民全員助けます!何度でも言います、必ず助ける!」と返信している。
信頼のできる自治体のアカウントからリアルタイムでメッセージが来ることは、心細い状況に陥っている市民にとってどれだけ勇気づけられることであろうか。
一方で、これらの取り組みに関していくつか課題があると服部氏は言う。
それは、一般ユーザーから届く情報の正確性・信頼性の欠陥と、情報の処理方法、すぐに動員することが可能な人員の不足などだ。
「消防団のような多くの人がいる組織において、全員が同時に得たあらゆる情報に対して、どのように集計しフィルターをかけ情報の信頼性を保証するべきなのか。また、自然災害のような緊急事態時にどれだけの人員を動員することができるのか。こういった部分に対して課題を感じていた」(服部氏)
そこで、これらの課題を解決するためNECは、NTTデータ、Twitter Japanと連携し、高度自然言語処理プラットフォーム防災ソリューションを開発し、2020年6月26日より提供を開始している。
同ソリューションは、NECの高度自然言語処理技術を活用しておりTwitterに投稿された被災状況や避難場所の情報をリアルタイムで収集・解析し、地域の被害状況把握や危機対応に必要な情報を可視化することで、自治体や官庁、一般企業の災害対応に従事する部門での情報収集・整理にかかる作業を省力化するとともに、有事における状況判断や意思決定を支援する(詳しい内容はこちらの記事を参照していただきたい)。
なお、NECが活用しているTwitterデータは、SIパートナーシップを締結しているNTTデータ(Twitterオフィシャルパートナー)より提供されている。
同ソリューションにより、被害状況に応じた適切な対処・避難指示、正確でリアルタイムな情報が共有・収集することが可能だ。
NEC 第一都市インフラソリューション事業部 シニアマネージャー 平井清宗氏は「災害発生時だけでなく平時の事件や事故、天候異常やイベントといったトラブル検知などにも利用可能だ。今後平時に利用できる機能も拡充していく予定だ」と話す。
また、NECが2020年10月に提供を開始する予定の「解析データ配信システム」を活用することで、自治体などのユーザーが保有する防災情報システムにて、高度自然言語処理プラットフォームの解析結果を確認することが可能になるという。
さらに今後は、準天頂衛星を活用したQ-ANPIシステムと連携し、避難者の情報とTwitterの情報を重ね合わせ状況を把握できるような環境の構築も目指す方針だ。
9月1日は防災の日。現在Twitterでは期間限定でツイートに「#防災の日」を入力すると、自動的に防災ずきんを被った可愛らしい子供の絵文字が反映される。
防災において、災害が起こる前の防災情報に関する普及や啓発が重要だ。政府や自治体だけでなくすべての人が、防災に関する豆知識や体験談などをツイートを通じて共有することで、国民すべての防災リテラシーがさらに高まるのではないだろうか。