パーソルキャリアとNECは8月13日、自己主権型アイデンティティ(Self-Sovereign Identity※1)のコンセプトをベースにした、国をまたぐ新しいダイレクトリクルーティングサービス(※2)の実証実験をインドのITエンジニアと日本企業を対象に、2020年8月より開始すると発表した。
近年、日本におけるIT人材不足が深刻化しており、2030年には最大80万人不足すると言われている(※3)。
(※1):特定の管理主体が介在することなく、個人が自分自身のアイデンティティを自ら保有しコントロールできるようにするべきであるという考え方。
(※2):企業の採用手法の一つで、企業が自社の求人要件にマッチする求職者に対して直接採用アプローチを行うリクルーティング方法。
(※3):「IT人材需給に関する調査(経済産業省委託事業)」みずほ情報総研株式会社, 2019
同実証実験は、外国人ITエンジニアの採用を検討する日本企業向けのダイレクトリクルーティングサービスの検証。GMOインターネット、ワイヤードビーンズなど計6社の日本企業が参画し、インド在住のITエンジニアを対象に採用活動を行う。
具体的な検証内容は、「日本で就労希望があるインド在住のITエンジニアのニーズ調査」、「日本の求人企業の採用負担削減効果」、「プログラミングスキルチェックの妥当性」の3項目だ。NECは、転職希望者のレジュメ情報の登録・閲覧ができるプラットフォームとアプリケーションの開発、ダイレクトリクルーティングサービスの提供・運営を担い、パーソルキャリアは、ダイレクトリクルーティングサービスを行うために必要な情報とノウハウの提供、求人企業の募集を手掛ける。
参画するインド在住のITエンジニアは、現地でオンラインでも受講可能なITスキルテストを行い、結果はスマートフォンアプリに自動連携される。これにより、転職希望者は自らのスキル証明書を信頼性の高い情報として保管することが可能だ。この証明書は転職希望者がアクセス許可した企業が閲覧できるため、企業ごとに異なるスキルチェックテストを受ける手間が省け、転職希望者の選択肢の幅を広げることにつながるとしている。
このスマートフォンアプリは、NECが独自に開発したブロックチェーン技術とAONT技術(※4)を活用しており、転職希望者は自身のパーソナルデータなどの秘匿性の高い情報をセキュアに管理(追加・編集・削除)したり、アクセスコントロールをおこなってデータの開示可否を設定したり、情報の改ざんを防ぐことができる。
同実証実験で両社は2020年8~10月の3カ月間の実証実験を通じて、転職希望者個人の経験や知識、実績を基にインド・日本の国をまたぎ、公平に仕事を得る機会を創出し、その結果を踏まえ、NECは2020年度中のダイレクトリクルーティングサービス開始を目指す考えだ。
(※4):データから複数の新しい断片データを生成するデータ変換技術。断片データからは、全ての断片を集めて結合しないかぎり、元のデータについて何も知ることができないことを保証する。これを用いて、断片データをそれぞれ異なるクラウドサーバに分散配置すれば、元のデータに関して高い機密性が実現可能。