仏Yole Développementは、2019年のMEMSサプライヤ売上高ランキングトップ30社を発表した。売上高トップグループは通信用半導体大手のBroadcomとRobert Boschの2社で、両社ともに3位以下の売上高の2倍以上の売り上げ規模を誇っている。
以降、3位STMicroelectronics、4位Texas Instruments、5位Qorvoといった順番だが、トップ10内に入っている日本企業は10位のTDKのみである。また、その売り上げもトップの1/3以下と存在感は乏しい。ただし30位以内として見た場合、14位にパナソニック、16位に村田製作所、17位に旭化成エレクトロニクス(AKM)、18位にキヤノン、21位に太陽誘電、24位にアルプスアルパイン、28位にエプソンと合計8社が入っており、これら8社の売上高合計は約17億ドルで、トップのBroadcomやBoschらを超える。そのため、日本をMEMS大国とする見方もあるが、各社個別で見た場合は小粒であり、MEMS業界での存在感も希薄となっており、パワー半導体業界と似たような状況に陥っているとみるべきだろう。
ちなみにトップ30社の合計売上高は2018年で99.4億ドル、2019年が前年比2.2%増の101.6億ドルとプラス成長となっている。この10年間を振り返ると、トップ10社の中でもBroadcomとQorvoがRF MEMSの需要急増で特に近年シェアを伸ばしてきた。また、Boschは一貫して安定したシェアを保ってきたほか、KnowlesとNXP Semiconductorsも比較的安定したシェアを保ち続けてきた。
一方でSTMicroelectronics、Texas Instruments、Hewlett Packardは、10年前に比べて最近はシェアを落としており、TDKはマイペースの感があるとYoleでは分析している。
MEMSファウンドリランキング3位にソニー
MEMSも半導体のようにファウンドリを活用する時代が始まっている。ただし、世界最大のMEMSファウンドリであるスウェーデンのSILEX Microsystemsでさえも、その売上高はMEMSサプライヤの30位相当に過ぎないほどの規模である。しかし、2019年の売上高の伸び率は33%と高く、注目に値する。2位はTeledyne Dalsaで、3位にソニーが入ってきている点も注目される。同社は、もともと米国テキサス州サンアントニオにあった米国半導体工場(当初はSRAMやBiCMOS製造を製造)の最終盤にMEMSファウンドリサービスを提供していたが、同工場の閉鎖・売却に伴い、MEMSファウンドリ事業を鹿児島のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング鹿児島テクノロジーセンターに移管して、継続して世界中の顧客から生産を受託している。4位には半導体ファウンドリ最大手のTSMC、5位はTSMCと同じく半導体ファウンドリも手掛ける独X-FABとなっており、日本からはソニーのほか、14位にロームが入っている。
なお、MEMSファウンドリ市場は2018年に4.9億ドルであったものが、2019年には前年比5%増の5.1億ドルとなっている。この金額は、MEMSサプライヤランキングの6位に相当する規模である。