矢野経済研究所は8月5日、監視カメラ/モニタリング用カメラの世界市場を調査し、参入企業の動向、企業シェア、将来展望を発表した。

同調査は、監視カメラメーカー、SIer、レンズや監視用DVRなど関連機器メーカーなどを対象に2020年4月~6月の期間で実施したもの。調査方法は、専門研究員による直接面接取材、電話・eメールによるヒアリング調査、ならびに文献調査を併用。

同調査によると、2019年の監視カメラの世界市場規模は、メーカー出荷数量ベースで64,800千台(前年比120.0%)となった。全体の6割を占める中国市場は前年比122.1%と成長して世界市場を牽引したほか、その他エリア(中東、中南米、アフリカ、ロシア)の出荷台数が拡大し、世界市場の成長につながったとしている。

  • 監視カメラ世界市場規模推移 矢野経済研究所調べ

また、2017年以降、国内のクラウドカメラ(録画機能を持たないライブタイプのカメラを除く)サービス市場は急成長していることが分かった。現在はBtoBでの需要が拡大しており、とくにマンションや駐車場の管理、工事現場や河川の監視などでの利用が進んでいるとのこと。

加えて同社は、初期費用がこれまでより抑えられることなどから、今まで監視カメラが導入されていなかった小規模店舗や飲食店、歯科医院や診療所、仮設物件、不動産・マンション、理美容室、小規模オフィス、公益的活用(河川管理など)などへの普及拡大が見込まれるとしている。

一方で、クラウドカメラはセキュリティ面での不安、回線負荷、解析などのタイムラグ、接続の安定性などの懸念もあり、今後はそれらの解消と認知度の向上に取り組んでいく必要があるという。

また同社は、新型コロナウイルスの影響により、2020年の監視カメラ世界市場規模(メーカー出荷数量ベース)は、前年比84.0%の54,440千台に減少すると予測した。これは監視カメラ/モニタリング用カメラ自体の需要自体がなくなるわけではなく、新型コロナウイルスの影響により新規導入や更新時期が後ろ倒しとなるためだとしている。

さらに、中国市場の急成長の陰りや新型コロナウイルスによる経済後退への懸念がある一方で、中国・欧米・日本における更新需要や、アジア圏・その他エリア(中東、中南米、アフリカ、ロシア)の新設需要は中長期的に拡大していくと見込んでいる。他にも、スマートシティ構想やIR(Integrated Resort:統合型リゾート)、MICE(Meeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Event)などの開発プロジェクトにおける新たな需要も期待されるとのことだ。