NTT東日本は、東京都調布市のNTT中央研修センタ内に設置したローカル5Gの実証実験施設「ローカル 5G オープンラボ」をリニューアルし、7月30日、プレス向けに公開した。
同施設は2020年2月にオープンしたが、ここを利用するパ-トナーからより使いやすくしてほしいという要望を受け、今回リニューアルした。
ラボは100平方メートルの「検証ルーム」(Experiment Room)のほか、コアワーキングスペースやソリューション展示スペースを備えた「オープンスペース」(Open Space)、打ち合わせや商談などが行える「カンファレンスルーム」(Conference Room)からなる。
「検証ルーム」にはローカル5Gアンテナ(28GHz NSA、免許取得済)が設置されているほか、免許がなくても実験ができるシールドボックスも設置されている。
「ローカル5Gオープンラボ」は、東京大学との産学連携により設立されており、東京大学本郷キャンパスの大学院情報学環 中尾研究室とも接続されている。
「検証ルーム」では、銀座農園が「FARBOT」というスマートアグリ・モビリティを使った、実証実験を行っていた。FARBOTは、3台のカメラやセンサーを備え、これらを使って生育データや環境データ(温度、湿度、二酸化炭素)を取得。5Gを利用しての遠隔操作や高精細画像伝送による果物の生育状況の確認や収穫時期の判定、果実の個数カウントなどの実証実験を行っている。生育状況は果実の色彩をAIで判断しているが、昆虫の目をイメージした紫外線を使った蛍光分析にも取り組んでおり、病気の早期発見に役立てようとしている。
銀座農園の代表 飯村一樹氏は、「明日収穫できる果実の数量が分かれば、それ合わせ人員配置や売上も予想でき、利益の出せる農業ができる」と語った。
なお、現在のラボは屋内の「検証ルーム」のみだが、今後、農業領域の実験が行えるようにNTT中央研修センタ内に、畑とビニールハウスも増設される予定。
また、ミライトは5G 28GHz帯の直進性が高く減衰率が大きいという特徴による遮蔽物の影響を少なくするため、メタマテリアルという自然界の物質にはない人工物質を使った反射板を利用したエリア構築ソリューションの開発を行っている。通路の角や物影を反射板を使って通信環境を改善しようというものだ。また、3Dスキャンデータを使って伝搬シミュレーションも行っている。
そのほかNTT東日本は、東急不動産、PALと連携し、ローカル5Gスマート物流を推進する取り組みを開始しているほか、東京大学とは、臨場感のある遠隔授業の実現を目指している。
NTT東日本 代表取締役社長 井上福造氏は、「ローカル 5G オープンラボの目的は、ローカル5Gの可能性をパートナーとともに検討し、ユースケースを作っていくことにある。ローカル5Gの未来の可能性を作り上げる」と、ロボコネクタを使ってコメントを寄せた。