Webブラウザ「Chrome」がバージョン85の正式版(8月後半リリース予定)で、タグ付きPDFをサポートする。Webページを印刷する際に「Save as PDF(PDFに保存)」を選択すると、自動的にタグ付きPDFが生成される。

タグ付きPDFは、見出しや段落、表、画像とキャプション、引用や注釈といったドキュメント構造のメタデータを含むPDFである。タグによって、アクセシブルなPDFになる。例えば、読み上げ機能を利用する際に、複雑なレイアウトのPDFだと、本文テキストの読み上げ順が内容と一致しないことが起こる。タグ付きなら正しい順序で読み上げられ、ページ番号のような音声にする必要のない情報が除外される。また、タグによってPDFの内容をデータとして用いやすくなる。PDFからWord形式、PDFからHTMLなど、他の形式へ変換する際に、タグで文書構造が指定されていれば適切な変換が行われる。

米国では、ポリシーや地域の法律によって、企業・組織が情報を提供する際にアクセシブルなPDFが要求されることがめずらしくない。Chromeアクセシビリティを担当するテクニカルリードのDominic Mazzoni氏は「すでに情報は、構造化されたアクセシブルなWebページを通じて提供されています。タグ付きPDFによって、Chromeからより多くのコンテンツが書き出され、より多くの人達がアクセスできるようになると期待しています」と述べている。

なお、タグ付きPDFの生成機能は、すでに実験的な機能としてロールアウトされており、Chrome 84でもURLバーに「chrome://flags/#export-tagged-pdf」と入力し、機能を有効化することで利用できるようになる。