UiPathは7月29日、RPAプラットフォーム「UiPath」上で、各種AIの機能を展開していくための3つの新製品を発表した。
「UiPath AI Fabric」
「UiPath AI Fabric」は、「UiPath」上で各種AIモデルを運用管理するためのプラットフォーム。自社開発したAIモデル、UiPathが提供するOut-of-the-box(すぐに使えるパッケージ)、オープンソース、パートナーが提供するモデルの4つを取り込んで利用できる。クラウド環境およびオンプレミス環境(サーバが必要)の両方で利用できるという。
利用したいAIモデルを「UiPath AI Fabric」に展開し、UiPath StudioのRPAワークフローにドラッグ&ドロップすることで、そのワークフローの中で利用できる。
具体的には、画像分析もしくは自然言語処理などのAIモデルを活用して自動化を図りたい場合は、UiPath AI Fabric上で該当のAIモデルを展開すると、UiPath Studioのワークフローに組み入れられ、カスタマーサポートに届いた問い合わせのメールを自動的に各部署に振り分けるという仕組みも実現できるという。
UiPath ソリューション本部 エバンジェリスト 鷹取宏氏は、AIモデルは視覚情報を理解する「Computer vision」、データ分析と予測を行う「Data Analysis」、ドキュメントを理解する「Document Understanding」、会話情報を理解する「Conversation Understanding」の4つのタイプに分類して管理するとした。
鷹取氏は、RPA上でAIを活用する上では、AIを業務合った形で使っていくためのインフラをガバナンスを利かせた形でそれぞれ用意する必要がある、AIの開発者と現場利用者のギャップがあり、現場で修正できない、AIに学習させるデータを作り込むことが困難といった課題があり、これらをUiPath AI Fabricで解決するとした。
今後、Automation Hub内でAIのユースケースを発見して提出する機能や、機械学習に適したプロセスのステップを特定し、モデルの訓練に訴えられそうなデータを提案する機能などの機能拡張も計画されているという。
また同日、UiPath AI Fabric上のサービスの1つで、UiPathプラットフォーム上で帳票データの読み取り機能を備えた「UiPath Document Understanding」もあわせて販売開始することも発表された。UiPathプラットフォーム上で簡単に定型フォーマットの帳票データを読み取り、電子テキスト化し、システム入力や転記などが実行でき、他社のAI-OCRソリューションと組み合わせて使うことも可能だという。
「UiPath Action Center」
UiPath Action Centerは、ロボットによるジョブの実行中に、人間の判断や承認処理を介在させることを実現するソリューション。例えば、助成金などの申請書類の処理業務において、申請書をOCRで読み取った結果に対し、Action Centerで特定のメンバーをアサインし、添付書類の不足や記載情報の不一致がないかなど、人間による確認後、審査が完了したものだけを後続処理することができるという。
これまでは、人間に判断させるワークフローと、判断後のワークフローという2つのシナリオが必要だったが、UiPath Action Centerを利用することで、1つのシナリオで処理できるという。また、人間の判断した結果をUiPath AI Fabricの学習データとしてフィードバックできるという。
UiPath Action Centerでは、ジョブ実行中に人間が介在できるようにOrchestrator上に作成される仕事である「TASK」と、人間が判断する上で必要なデータを帳票形式で表示Formsからなる。
UiPath 代表取締役CEO 長谷川 康一氏は、発表会において「UiPathはAIのトータルサポートカンパニーになる。目指すのはAIの民主化だ。AIを導入する責任者が成功することを支援するプラットフォーマーになる。現場主導がAIを成功に導く。ビジネス現場の業務を理解する人がAI開発に取り組むべきだ。2つの新製品はAIを育てる動脈と静脈だ」と語った。