東証の適時開示情報を基に経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)について、ストライク(M&A Online)が集計したところ、2020年前半(1-6月)のIT・ソフトウエア業界のM&A発表件数は80件で、1-6月としては2008年以降の13年間で、2015年の68件を上回り過去最多となった。

一方、取引金額は542億円で、1-6月としては2008年以降の13年間では下位から4番目にとどまった。取引件数は高水準だったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、大型の案件が影を潜めたことから件数の割には金額が膨らまなかったものと思われる。

  • IT・ソフトウエア業界 M&Aの推移

金額トップは豆蔵ホールディングスMBOの344億円

金額の上位3件はいずれも1月に発表されたもので、トップは投資ファンドのインテグラル(東京都千代田区)が1月30日に、傘下企業を通じて、システム構築・開発支援を手がける豆蔵ホールディングスに対するTOB(式公開買い付け)を実施して非公開化すると発表した案件。MBO(経営陣が参加する買収)の一環で、買付代金は最大344億円。

金額の2番目はサン電子が1月14日に、イスラエル子会社を通じてサイバー攻撃発生時などに電子機器に残されたデジタル証拠を収集・分析するコンピューターフォレンジック事業を手がける米ブラックバッグ・テクノロジーズ(カリフォルニア州)の全株式を取得すると発表した案件で、取得価格は約38億円。

3番目はTISが1月21日にモバイル決済に関するソフト・サービス開発を手がける米国のSequent Software Inc.(カリフォルニア州)の持ち株比率を13.1%から61.6%に引き上げ、子会社化すると発表した案件で、取得価格は約28億円。

金額を公表しなかった案件は全体の6割強の49件だった。