SEMI米国本部の市場調査・統計担当ディレクタのClark Tseng氏は、7月20~23日に開催された半導体製造装置材料のバーチャルな展示会「SEMICON West 2020」の併催イベントとして開催したバーチャルシンポジウム「SEMI Market Symposium」にて「半導体製造装置および材料市場の2020年央のSEMIによる予測」と題して講演した。

2020年の製造装置の成長率が高いのは中国

2020年1月から5月までの半導体製造装置販売額は前年同期比18.3%増の253億ドルと好調で、中でも中国での販売額は同42%増の62億ドルと、他の国・地域を大きく引き離す勢いで伸びており、積極的に半導体に対する投資を進めている様が見えてくる。伸び率2位は韓国で同30%増の56億ドルで、日本は4位となる同14%増の27億ドルとなっている。

また、同時期の半導体デバイス市場の伸びも同6.4%増の1719億ドルと新型コロナウイルスが世界中で感染拡大しているにも関わらず勢いを持って成長を続けている。背景には、世界中で進む在宅勤務に伴うネットワーク環境やPC、サーバへの投資が進んだことが挙げられ、中でも米国におけるデータセンター投資が大きく、市場として米国のみ唯一2桁増の24.8%増という高い成長率を見せている。

  • SEMICON West

    2020年1月から5月までの半導体製造装置および半導体デバイスの国・地域別売り上げ (出所:SEMICON West 2020 Market Symposium発表資料、以下すべて)

北米製半導体製造装置の販売額も好調

北米に本社を置く半導体製造装置メーカーの販売額は2019年12月に2018年6月に記録した史上最高値に次ぐピークを迎えた後も前年同月比で2桁成長を続けており、日本製半導体製造装置も同様の好調さを見せている。

ちなみにこの講演の後となる7月23日(米国時間)に、SEMI(国際半導体製造装置材料協会)が発表した2020年6月(3か月移動平均ベース)の北米製製造装置の販売額も前年同月比14.4%増、前月比1.1%減の23億2000万ドルであり、前年同月比で2桁成長を続けていることに関してSEMI プレジデント兼CEOであるAjit Manocha氏は「この数値は半導体産業の回復力の兆しを示し続けている」とのコメントしている。

  • SEMICON West

    北米製半導体製造装置月間販売額の推移

2021年には製造装置販売額の最高値を更新の可能性

半導体製造装置市場は、2010年代前半までは約300億ドル規模であり、一時は成長の期待ができない成熟産業と言われていた。しかし、2017年以降、急成長を開始し、500億ドル規模にまで拡大してきた。2020年もロジックならびにファウンドリの設備投資に支えられる形で好調に推移することが予測されるが、2021年についてもメモリ業界の投資回復と中国の強気の設備投資継続により、史上最高値となる610億ドルを記録するものとSEMIでは予測している。

  • SEMICON West

    2010年以降の半導体ファブ(前工程)向け半導体製造装置販売額の推移(2020年および2021年は予測)

SEMIでは、その後も成長が続くとの見方を示しており、2023年には650億ドル市場に達し、ファウンドリ/ロジック向け装置市場が約半数の300億ドル規模を占めるまでに成長するとしている。

  • SEMICON West

    半導体ファブ向け半導体製造装置販売額の製品カテゴリ別の推移予測

半導体テスト市場も5Gの恩恵で2桁成長

半導体テスト市場も、2020年は前年比13%増と2桁成長が予測されており、その後も成長を続ける見込みとなっている。テスト市場の伸びは、5Gの登場によるところが大きく、5Gの普及に合わせて数年にわたってテスト市場をけん引することが期待されている。また、アセンブリとパッケージング市場も、2020年には同10%増、2021年も同8%増と先進パッケージングの高い生産能力増強ニーズにけん引され成長が続くことが期待されている。

  • SEMICON West

    2010年以降のテストおよびアセンブリ・パッケージング市場の販売額推移

なお、2020年の前工程・後工程を併せた半導体製造装置全体の市場は同6%増の632億ドル、2021年も同11%増の700億ドルと史上最高値を更新することが予想されている。