米AdobeとIBM、Red Hatは7月21日(現地時間)、規制の厳しい業界のデジタル変革とリアルタイムのデータセキュリティ強化を支援するため、3社における戦略的パートナーシップを締結した。これにより、カスタマージャーニー全体でパーソナライズされた顧客体験の提供が可能になり、エンゲージメント、収益性、ロイヤリティの向上を促進できるという。
現在、企業のデジタル変革への取り組みの一環として、中核的な業務処理の多くがクラウドに移行しており、セキュリティ遵守を最優先にしながら顧客の要求にいかに応えることが求められ、データ駆動型マーケティングが重視される昨今、銀行やヘルスケアなど特に規制の厳しい業界のCMOやCDOは、企業と個人を含む顧客の重要情報の管理者としての責務も担っている。そのような中、経営層では有意義な顧客体験の提供と同様に、データの保護が最優先事項となっている。
パートナーシップで重点的に「ハイブリッドクラウドに対応した柔軟性のあるデプロイメント」「アドビ製品を金融サービス基準で提供」「アドビとIBMのサービス連携」の3つの領域に取り組む。
柔軟性のあるデプロイメントに関しては、3社は企業のコンテンツとアセットの管理および配信システムを、あらゆるタイプのハイブリッドクラウド環境上で構築できることを目指す。
パブリッククラウドを複数組み合わせたものから、オンプレミスのデータセンターを組み入れた環境までが含まれ、具体的にはマーケティング、分析、広告、コマースを含むクラウド基盤「Adobe Experience Cloud」の管理ツール「Adobe Experience Manager 6.5」をコンテナプラットフォームである「Red Hat OpenShift」上で認証して提供。これにより、IBMは企業のクラウド環境をそのままに、顧客データの保持、アクセスおよび活用を実現するとしている。
アドビ製品を金融サービス基準で提供することについては、IBMの金融サービス対応パブリッククラウドを活用し、Adobe Experience Managerの提供範囲を金融業界向けに拡張することで、企業の担当者がパーソナライズされた顧客体験を提供する際に、セキュリティと規制要件を満たせるように支援する。
アドビとIBMのサービス連携では、IBM Servicesにおいてビジネスデザインに特化したIBM iXのサービスメニューを拡張し、アドビのエンタープライズアプリケーションを網羅。これにより、Adobe Experience Cloudをはじめ、今後はAdobe Creative Cloud、Adobe Document Cloudに対してもサポートを予定している。
今回のパートナーシップの一環として、IBMはアドビを「エクスペリエンスのグローバルパートナー」に指定する。Adobe Experience Cloudおよび、それに含まれるエンタープライズアプリケーションの採用を開始し、自社のグローバルマーケティングの変革に活用していくという。