STMicroelectronicsは7月16日(欧州時間)、ウルトラワイドバンドのスペシャリストであるファブレスメーカー仏BeSpoonの全株式、ならびにカナダRiot Microの主力事業であるセルラーIoT接続用IC設計事業の買収という2つのM&A契約を締結したと発表した。
同買収は、マイコンのワイヤレス接続機能の強化、特にSTM32マイコンとセキュアマイコンのロードマップを強化することを目的としたものだと同社では説明している。
BeSpoonは、2010年に設立された、フランスのルブルジェデュラックを拠点とするウルトラワイドバンド(UWB)通信技術を専門とするファブレス半導体企業。同社の技術は、悪条件下の環境でセンチメートル精度で安全なリアルタイムの屋内位置を特定可能にするというもの。同技術を、STM32に統合することで、IoT、自動車、モバイル通信アプリケーションの開発者は、セキュアアクセス、正確な屋内および屋外のマッピングなどのサービスを提供できるようになるとSTでは説明している。
STは、BeSpoonの大株主であるグローバル機械工作・電気機械メーカーである独TRUMPFならびにその創設者から買収するとしているが、それと並行して、STとTRUMPFがUWB追跡技術の戦略的パートナーシップを締結するとしている。
一方のカナダのバンクーバーに拠点を置くRiotは、Bluetooth Low Energy(BLE)とWi-Fi、LTE Cat-M、NB-IoTなど実績のある設計技術を活用することで、システムのコストと電力を最適化したセルラーIoT機能を設計するのが得意な企業。Riotのこれら携帯電話通信機能のSTM32ポートフォリオへの統合により、資産追跡、計測、フリート管理サービスなどのアプリケーションを開発している顧客へのサービスが強化されるという。
なお、STではこれら2社の買収条件を明らかにしていない。また、同社は今回の買収について、「既存のワイヤレスマイコンのBluetooth 5.0やIEEE 802.15.4通信プロトコルの機能を補完するものである。ワイヤレスマイコントは、1000を超えるさまざまなデバイスを提供する32ビット汎用マイコンSTM32ファミリーの一部であり、60億を超えるチップがすでに顧客に出荷されている。これらの買収により、すべてのワイヤレスIoT通信プロトコルに対応できるようになる」と述べている。