インターネットイニシアティブ(IIJ)は7月16日、Amazon Web Services(AWS)を活用したシステムの導入計画支援から設計、構築、移行、運用までを統合的に行う「IIJクラウドインテグレーションソリューション for AWS」を提供開始した。
企業におけるクラウド利用が広がるなかで、用途に応じて複数のクラウドサービスやオンプレミスを使い分けるマルチクラウド/ハイブリッドクラウドのニーズの高まりを受け、同社が提供するクラウドサービス「IIJ GIO(ジオ)」の利用ユーザーも7割を超える企業が他社クラウドサービスを併用し、適材適所でマルチクラウド環境を利用する企業が増加している。
このような需要に対応し、同社ではIIJ GIOに加え、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformの再販および閉域接続サービスを提供しているほか、煩雑化するマルチクラウド運用を同社が代行する統合運用管理サービスを提供し、企業のマルチクラウド活用をサポートしているという。
今回、AWSの再販に加え、インテグレーションまですべてワンストップでアウトソースしたいというニーズに対応するため、新たにAWS導入時におけるシステム計画から設計、構築、移行までを行う新サービスの提供を開始。あわせて、2月に業務提携したソニービズネットワークスのAWS運用支援ツール「マネージドクラウドポータル」をIIJの統合運用管理サービスに組み込み「IIJ統合運用管理サービス AWSクラウドポータル」として提供を開始する。
導入計画支援は、事前検証(PoC)の実施から構築・移行計画の立案、運用計画を支援し、導入効果を最大化するため「AWS Well-Architected フレームワーク」を活用することで、ベストプラクティスに沿ってシステム構成と導入計画を立案する。価格は30万円~/1プロジェクト。
インテグレーションは、同社がこれまでクラウド基盤でのシステム導入やSI事業で培った知見をもとに、同社の閉域ネットワークサービスや運用管理サービスなど、各種サービスを組み合わせて最適なAWSシステムを構築。クラウド利用のガバナンス実現のためにAWSのマネージドサービス(AWS CloudTrail、Amazon GuardDuty)を標準で設定して提供する。Webシステム一式構築の場合の参考価格は開発/本番環境のWebサーバ、データベース、ロードバランサ構築、および監視設定する場合で58万円~。
移行作業は、オンプレミス環境からAWSへのシステム移行を支援し、移行計画立案から手順作成、移行作業の実施までを行う。AWSの移行ツール「CloudEndure Migration」を活用して実施する「ベーシックプラン」と、移行全体の管理をしながら状況に沿った移行方法を選択し、高度な移行作業を実施する「エンタープライズプラン」の2つのプランから選択できる。また、クラウドリソースの見直しやコスト最適化など、移行後のフォローを行う「アフターケアパック」も用意しており、価格は98万~/1プロジェクト。
運用管理は、AWSの監視ツール「Amazon CloudWatch」など各種AWSサービスのマネジメントガバナンス設定、セキュリティ設定を代行するほか、IIJ統合運用管理サービスAWSクラウドポータルと組み合わせることで、バックアップジョブの自動化や構成管理を可能としている。なお、IIJ統合運用管理サービスではオンプレミスや他社クラウドの統合管理をサポートしており、他システムを含めた運用を一元化できるという。価格は12万5000円~(Amazon CloudWatch、AWS CloudTrail、Amazon GuardDutyなどの設定代行のみ)。
一方、IIJ統合運用管理サービスAWSポータルは運用に欠かせない機能を網羅した運用支援ツールで、AWSリソースの構成管理やジョブ実行のスケジューリング、モニタリング機能などを備えており、AWS運用の利便性を向上することで負荷を軽減するという。
具体的には、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)の稼働状態モニタリング、スナップショットやイメージバックアップなどのスケジュール実行、ネットワーク管理、構成管理をはじめとした機能を有し、AWS独自のマネージドコンソールの扱いに慣れない運用管理者でも直感的に使える管理・運用支援ツールとなる。同社が事前にセットアップして引き渡す設定代行も可能。
価格は、いずれも税別で初期費用が5万円、月額費用が5万5000円、設定代行には別途12万円が発生することに加え、カスタマイズAPI追加オプションやログ監査オプションを用意している。