エクサウィザーズと山口大学は7月15日、データサイエンスの技術を用いて診療現場の課題解決することを目指し、医療AI活用のための包括的な共創事業を開始した。
国内の高齢者人口の増加に伴い医療や介護の需要が増していく中で、AIを含むさまざまなテクノロジーの活用により、患者へのサービスレベルの向上と医療・介護従事者へのサポートを両立させていくことへのニーズが高まっており、特に医療現場とテクノロジー企業との相互理解に基づくイノベーション創出の活動は近年増加しているという。
同社が取り組むMedTech事業では、データとAIの活用により、患者と医療・介護従事者の双方に価値のあるヘルスケアの実現を目指しており、一環として産学連携で構築したシーズの事業化や医療現場とのサービスの共同開発などを推進している。
一方、山口大学では、AIシステム医学・医療研究教育センター(センター長:大学院医学系研究科・教授 浅井 義之)を核にAIとシステムバイオロジーの技術を融合し、基礎医学研究力の強化、医療技術の向上、将来の情報系医師の人材確保を目指している。
今回、両機関で開始した共創事業では同大が持つ医療現場とアカデミアの専門性、同社が持つAI開発企業の技術力と事業開発力を活用し、医療現場のニーズを抽出・発掘することで、新たなAIシステム実装に取り組む。
まずは「フレイル予防に向けたパーソナルヘルスレコード(PHR)とAI解析の融合による行動変容ツール開発」「受精卵タイムラプス画像のAI解析による良好胚の選別」「CT画像などのAI解析に基づく虐待が疑われる児童の医学的判別支援システム構築」の3テーマをはじめ、ワークショップなどを定期的に開催することで、各診療科でのテクノロジー活用ニーズも今後さらに発掘・追加していく。
同社の動画像や音声、テキストなどの非構造化データを用いたAI開発力およびソフトウェア開発力を組み合わせることで、研究開発にとどまらない医療現場への実用化を前提に、AIを利活用した新たなイノベーションとビジネス創出を目指す考えだ。