2025年まで順調に成長が続く半導体メモリ市場
市場動向調査会社の仏Yole Développementは、DRAMおよびNANDを中心としたスタンドアロン型の半導体メモリ市場について、2019年以降、年平均成長率(CAGR)9%で成長し、2025年に1850億ドル規模にまで拡大するとの長期予測を発表した。
2019年のスタンドアロンメモリ市場で合計96%のシェアを有するDRAMとNANDについてYoleは、NAND市場のCAGRは11%で、2025年に820億ドルへ、DRAM市場はCAGR7%で、2025年に950億ドルへと達するとしている。また、3番目の市場であるNORフラッシュについては2019年の約23億ドルから、2025年までにCAGR4%で成長すると予測されている。
それ以外のSRAMやFRAMはマイナス成長と見込まれているほか、PCM、MRAM、RRAMについては2019年の5億ドル規模の市場から、2025年には40億ドル規模へと8倍増となる予測だが、それでもメモリ市場全体の2%程度を占めるに過ぎない。次世代メモリの中でも成長が期待され、Intelが拡販に力を入れている3D Xpointは、データセンター向けに伸びる見通しだという。
2025年にはNANDは176層以上に、DRAMは1a-nmへ
DRAMの2Z-nm世代以降のプロセスごとのウェハ製造枚数の2018年と2025年の比率を見ると、2018年は1X-nm品が半数を占めていたが、2025年には1a-nmが約1/3を占めると予測している。
一方のNANDの2次元あるいは3次元層数ごとの300mmウェハ製造枚数の2018年と2025年の比率を見ると、2018年は64層品が半数を占めていたが、2025年には176層以上の高層製品が9割以上を占める見込みとしている。
世界の主要メモリメーカーの3D NANDおよびDRAMの各層数、プロセス世代ごとの発売時期を見ると、NANDは新興の中国YMTCが独自のメモリセルアレイと周辺回路を別々のウェハで製作しておいて、後で張り合わせる「Xtacking技術」を活用することで、94層をスキップし、2021年末までに128層を発売する計画とし、先行するトップ企業群に一気に追い付く戦略を掲げるなど、高層製品へのシフトが新興メーカー含めて、明確になっている。
一方のDRAMは、中国勢はまだ開発段階にあり、新興メーカーのCXMTは、1x-nm品を2020年末から2021年にかけて発売する計画を打ち出しているが、トップグループからは3年遅れの技術となっている。CXMT以外にも参入しようという中国メーカーは複数社あると見られているが、過去にはJHICCが、米国企業から技術を不正に入手したとして米国政府から米国製半導体製造装置の輸出禁止がなされるなどの措置もあり、製造技術をどのように獲得するかがポイントとなってくる。
2020年のDRAM市場は5%増、NAND市場は35%増の予測
なおYoleでは、7月時点の予測として、2020年のDRAM市場の見通しを前年比5%増としている。また、NAND市場については、同35%増としている。
2020年のDRAM平均価格は前年比9%減となる見込みであるが、徐々に値上がりする動きを見せている。NANDの平均価格も、2019年第4四半期から上昇し続けており、2020年は前年比6%増を予測している。