東証の適時開示情報を基に経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)について、ストライク(M&A Online)が集計したところ、2020年6月のIT・ソフトウエア業界のM&Aの発表件数は14件で、6月としては2008年以降の13年間では、2011年、2015年の12件を上回り最多となった。
新型コロナウイルスの影響で取引の減少が懸念されたが、1-6月の全業種のM&A件数(406件)が2009年(439件)以来11年ぶりの高い水準だったのと同様の傾向となった。人手不足や日銀による金融緩和などが引き続きM&A市場を後押しした。
取引金額トップは約14億4100万円
取引金額が最も多かったのはSBテクノロジーが、クラウドワークス傘下でシステム開発を手がける電縁(東京都品川区)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、金額は14億4100万円だった。
両社が強みとする通信業や、自治体向けの次世代通信規格(5G)や電子自治体などの領域で事業拡大を目指すのが狙い。
金額の2番目はGA technologiesが中国の淼瀛(上海)信息技術有限公司(NeoX China、上海)グループが日本と中国で運営する不動産サイト「神居秒算」事業を取得することを決めた案件で、金額は約12億2500万円。
「神居秒算」は中華圏の投資家向けに日本の不動産情報を提供しており、掲載物件数は約1万2000件に達する。GA technologiesは同事業の取得を機に海外向け不動産サービスに乗り出す。
3番目はNo.1がインターネット関連システム・アプリ開発のリライ(東京都渋谷区)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、金額は3699万円。
クラウドサービスを中心としたデジタル分野で新サービスの提供、新規顧客の開拓につなげるのが狙いだ。