藤田医科大学(藤田医大)は7月10日、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補である抗インフルエンザ薬「ファビピラビル(アビガン)」の効果検証結果について、「明らかな有効性は確認できなかった」との最終報告を行った。

同研究は、2020年3月上旬から5月中旬までの間に同大を代表機関として全国47医療機関で実施されたもの。新型コロナ患者89名を対象に、うち44名をアビガンの通常投与群(1日目から内服)、45名を遅延投与群(6日目から内服)に分けて実施(後に遅延投与群の1名が不参加に変更)。また、ウイルス量に関する評価は、研究への参加時にすでにウイルスが消失していたことが後日判明した19名を除外した結果、通常投与群36名、遅延投与群33名で行われた。

その結果、通常投与群では遅延投与群に比べ6日までにウイルスの消失や解熱に至りやすい傾向が見られたものの、症例数が少ないため、統計的有意差には達しなかったことから、明らかな有効性は確認できないという結論に至ったという。また、重症化したり亡くなったりした人はいなかったという。

研究グループでは、今回の研究の詳細なデータについて、なるべく速やかに論文発表できるよう準備を進めていきたいとしている。

なお、アビガンについては、富士フイルム富山化学も臨床試験(治験)を進めており、こちらは2020年4月から始まり、6月中に終了予定であったが、治験の参加者数が目標に届いていないことから7月以降も継続している。