東芝デジタルソリューションズは7月9日、自動車メーカーや部品サプライヤの枠を超え、車載システムの共同デジタル試作を可能にする「分散・連成シミュレーションプラットフォーム(製品名:VenetDCP)」の販売を開始すると発表した。

エレクトロニクス化が進む自動車業界では、車載システムの開発や開発効率の向上に向け、近年、モデルベース開発(MBD)が活用されるようになってきた。東芝も長年にわたって自動車向け組み込みソフトウェアの開発やCANなどのバスシミュレータを提供してきたが、VenetDCP(Distributed Co-simulation Platform)はそのバスシミュレータをプラットフォーム化することで、さまざまな企業が直接的に接続できるエコシステムを構築することを可能としたものとなる。

  • VenetDCP
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  • VenetDCPの概要 (資料提供:東芝デジタルソリューションズ)

具体的には、エンジンやモーター、ブレーキ、ステアリングといったコンポーネントレベルの設計に対し、マスワークスのMATLAB/SimulinkやdSPACEのVeos、ダッソー・システムズのDymola、シーメンスPLMソフトウェアのSimcenter Amesimなどといったさまざまなシミュレーションツールを相互利用するための世界標準規格であるFMI(Functional Mock-up Interface)を活用することで、接続可能とすることで、1つの場で複数シミュレーションの実施を可能とした。

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  • VenetDCPの活用例 (資料提供:東芝デジタルソリューションズ)

また、機密情報であるモデルデータそのものはVenetDCP側には送られないため、セキュリティを確保しつつすべてをつないだシミュレーションが可能となるとする。

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    VenetDCPを用いた分散・連成シミュレーションのイメージ (資料提供:東芝デジタルソリューションズ)

東芝デジタルソリューションズでは、今回のサービス提供に併せて電通国際情報サービス(iSiD)と販売提携に向けた基本合意を締結。今後、共同マーケティングの実施や、関連サービスを含めた役割分担などの協業ストラクチャーの検討を進めていくとしている。

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    販売の拡大に向け、電通国際情報サービスと提携を行い、協力してプラットフォームの提供を行っていく (資料提供:東芝デジタルソリューションズ)

なお、ライセンスとしては全体をコントロールするためのものと、VenetDCPに接続するためのライセンスの2種類が用意され、いずれも年間サブスクリプション契約での提供が予定されている。