日本経済団体連合会、経済同友会、日本商工会議所、新経済連盟らは7月8日、「書面、押印、対面」を原則とした制度・慣行・意識の抜本的見直しに向けた共同宣言を行った。

この共同宣言は、新型コロナウイルスへの対応として社会全体で幅広く実践されたテレワーク、サテライトワーク等の取組を後戻りさせることなく、新しい生活様式・ビジネス様式を拡大・定着させ、社会全体のデジタル化を実現させるためのもの。

四経済団体から具体的な事項として書面主義、押印原則、対面主義の廃止に向けた抜本的な見直しを求める要望があり、これらの行政手続については、各府省から法令の規定等により実施が困難な事項等を除き、概ね一定の対応を行うとの回答があったという。

書面主義、押印原則、対面主義を求める全ての行政手続の原則デジタル化に向け、恒久的な制度的対応として、各府省に対し年内の見直し検討を行い法令・告示・通達等の改正を行うよう求め、今年度末までに明らかになるようにするという。

会計手続については、各府省に対して押印廃止等の優良事例を示し、書面主義、押印原則、対面主義の抜本的な見直しを求めるという。結果については年内を目途に状況のフォローアップを行い、対応が不十分と思われる府省については、さらなる対応を行うよう求めるということだ。

法令等所管府省に対し、国の法令等に基づいて地方公共団体が実施する手続について、緊急対応等についてガイドライン等を地方公共団体に発出するとともに、必要な法令等の見直しを行うよう求めるという。

さらに、各府省に対し、デジタル三原則(「デジタルファースト」、「ワンスオンリー」、「コネクテッド・ワンストップ」)を実現する責務を有していることを強く認識するよう求めるという。

一方、民間の取引における見直しに関しては、「書面、押印、対面」が商慣行・社内手続として定着しているものについて、取引関係手続については取引先等と協調し、社内手続については各社で経営者のリーダーシップに基づいて、テレワーク推進等の観点から押印廃止や書面の電子化を推進するとしている。

また、「郵送・FAX」の電子メール等による代替、「契約書、見積書、請求書、領収書、稟議書、出退勤管理簿等」について文書の性質や具体的状況に応じて不要とみられる押印廃止や電子化及び電子署名等の電子認証の活用、「商談、送金・振込」におけるオンラインシステムの利用拡大・定着を推進するとしている。

押印に関する民事基本法上の規定の意味や押印を廃止した場合の懸念点に応える整理に基づき、押印が必須でない旨を周知し、民間事業者による押印廃止の取り組みを推進するとしている。

押印が必要な場合においても、書面の電子化のためには電子署名等の電子認証の活用が有意義であり、政府がクラウド技術を活用した電子認証サービスの電子署名法における位置づけを明確化したうえで、電子署名等の電子認証の周知、活用が図られるよう取組むという。

四経済団体から特に要望の多かった不動産関係や金融関係、会社法等一般法関係等については、今後も引き続き解決に向けた取り組みを行うとし、その他の分野についてもデジタル化を阻害する法令や慣行等の見直しに向け、取組を継続するとしている。