国内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)陽性と確認された人の累計が8日までに、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客乗員を除き2万人を超えた。東京都では7日に新規に陽性と確認された人は106人で連続6日3桁となった。東京都ではPCR検査数が増えており、「連日3桁」は検査増を反映している。その一方で感染経路不明者の割合も増えており、市中感染が再び拡大しているのではないかと懸念されている。

厚生労働省や東京都によると、東京都で7日に新たに106人が確認、報告されたのをはじめ、8日午前までに全国で新たに212人が報告された。この結果、クルーズ船関係を除いても陽性確認者は累計で2万154人となった。クルーズ船の乗客乗員も含めると陽性者の累計は2万866人、死者は993人となった。

東京都の陽性確認者の推移をみると、緊急事態宣言が全面解除された5月下旬に何日かは1桁だった。6月に入ってからは2桁が続き、解除から1カ月が経過した6月下旬以降50人前後になり、7月2日以降7日まで100人超が続いている。

東京都の場合、4月上旬の1日のPCR検査数は日によってばらつきはあるが、平均すると300~400件台だった。7月に入ってからは平均2000件を超え、感染拡大が確認された都内一部地域で積極的に検査している。

こうした検査を反映する形で陽性確認者は増加。7月7日まで6日連続で100人を超えた。陽性率を決める検査数が大幅に増えているため、同じ3桁でも最近の感染状況は「4月上旬と同様」と判断することはできない。しかし、ここ1週間は感染経路不明者の割合が上昇する傾向にあり平均すると4割程度になっている。また20~30代や夜の繁華街関連が目立っている。多くの専門家は緊急事態宣言の解除後に、再び東京都の市中感染率が高まっている可能性を指摘している。

検査で陽性と確認された人の数は実際の感染者の一部とみられるが、正確な感染者数ははっきりしていない。東京大学先端科学技術研究センターのプロジェクトリーダー(名誉教授)で、現在新型コロナウイルスと人の免疫システムとの関係を研究している児玉龍彦氏は、これまでの研究から実際の感染者は確認・報告者の10倍程度いるとの見方を示している。

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    一日当たりの新規陽性確認・報告者の推移を示すグラフ(提供・東京都)

新型コロナウイルス対策の専門家会議は2月に設置されて以降「『3密』の回避」「人との接触回避」「新しい生活様式」など感染防止策を提言してきた。政府の方針により、「新型インフルエンザ等対策閣僚会議」の下に新たに設置された分科会に衣替えされ、6日に初会合が開かれた。分科会は18人で構成され、会長には専門家会議の副座長だった尾身茂・地域医療機能推進機構理事長が就任した。尾身氏はじめ専門家会議の8人が参加している。

尾身氏は、今後の感染拡大防止策の決め手はPCR検査の一層の拡充であると再三強調している。6日の初会合後の記者会見でも、感染拡大が確認された地域での重点的な検査の必要性を指摘した。分科会の別のメンバーによると、今後の会合では若年者が無症状のまま感染を広げている可能性が高いことを重視し、無症状者の検査のあり方についても議論する方針だという。

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    6月24日に記者会見する尾身茂氏(専門家会議の副座長当時、提供・日本記者クラブ)

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