日本半導体製造装置協会(SEAJ)は7月2日、2020年度~2022年度の半導体製造装置ならびにFPD製造装置の需要動向予測の最新版を発表した。
同予測は同協会半導体調査統計専門委員会による需要予測とSEAJ理事・監事会社20社による市場規模動向調査結果を総合的に議論・判断し、SEAJの総意としてまとめた結果であり、毎年1月と7月に発表されている。
2020年度の日本製FPD製造装置販売高は前年度5.5%増の5020億円とSEAJは予測している。また、中国が日本製FPD製造装置の販売先の8割以上を占める構造も変わっていない。
2021年度は第10.5世代液晶パネル向け投資の一巡による谷間の時期にあたることを考慮して同6.4%減の4700億円、2022年度は新技術を盛り込んだ投資が期待されるとし、同4.3%増の4900億円と予測している。2020年1月版の予測では、2020年は同4%増、2021年を同1.9%減とそれぞれしていたことから、2020年度をやや上方修正した一方で、2021年度を下方修正したこととなる。なお、日本製装置の販売額とは、海外製造拠点を含めて日系企業の日本国内および海外での販売額総額を指す。
海外渡航制限で販売予測が困難に
SEAJは、今回のFPD製造装置販売高の予測について、「大手パネルメーカーの営業利益率は2017年第2四半期(4~6月)をピークに低下傾向が続いており、2020年第1四半期(1~3月)は、韓国の最大手企業も営業赤字を記録しするといった状況となった。韓国を中心に、既存のテレビ用液晶パネル製造ラインを停止し、中国を含むグループ全体の生産能力の最適化や新技術を用いたパネルへのライン転換が行われようとしている。現在、G10.5/G8.6の液晶パネル向け投資とG6の有機EL(OLED)投資を主体に、その8割が中国に集中している。新型コロナウイルスの初期感染拡大は中国で起きたため、2020年1~3月は政府による海外への渡航制限によって現地での据付・調整・立上げが困難となったが、その影響は現在まで長期化しており、スリップ分を翌年度に持ち越さず取り戻せるのか、年間を通した販売高の予測が例年に比較して難しくなっている」と説明している。
また、今後について「2021年度において、G10.5の液晶パネル向け投資は一巡が予想されるが、既存のディスプレイとの技術的な差別化を狙った新たな競争軸が生まれてくると予想する。それだけに、2022年度の投資額や投資配分は不透明であるが、先進的な装置メーカーにとっては新たな事業機会と考えられる」と述べている。