日本半導体製造装置協会(SEAJ)は7月2日、2020年度~2022年度における半導体製造装置の需要動向予測(2020年7月更新版)を発表した。
同予測は同協会半導体調査統計専門委員会による需要予測とSEAJ理事・監事会社20社による市場規模動向調査結果を総合的に議論・判断し、SEAJの総意としてまとめた結果であり、毎年1月と7月に発表されている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により世界経済の大幅な縮小が予想されているものの、データセンターからの力強い需要を背景に半導体市場は堅調な成長が予測されているほか、年度後半からはメモリ向け設備投資の復活も見込まれる結果、2020年度の日本製半導体製造装置販売高は、前年度比7.0%増の2兆2181億円との予測となったという。また、2021年度はメモリ、ロジック・ファウンドリともに堅調な投資が予想されるため、同10.0%増の2兆4400億円。2022年度も同4.6%増の2兆5522億円と予測されている。
新型コロナの影響下でも根強い半導体需要
IMFが6月に発表したベースラインシナリオでは、2020年の世界経済は、新型コロナ拡大防止のために実施された経済活動の停止により、前年比4.9%減と大きな景気後退が懸念されている。
半導体を消費するアプリケーションとしては、スマートフォンに代表されるコンシューマ製品や車載、産業機器でマイナス成長が見込まれる一方で、テレワークや巣ごもり需要の増大でデータトラフィック量が爆発的に増加し、データセンター関連需要が急増するなど、世界中の人々の行動様式に変化が迫られるこうになっており、そうした新たな行動様式では、5GやAI、IoT、自動運転などの需要がますます高まり、半導体需要も中長期的には確実に拡大していくとSEAJでは見ている。
WSTSの6月の発表でも、2020年の半導体市場の成長率が前年比3.3%増との見込みが示されており、中でも大幅な価格下落により2019年は同32.6%減と大きく落ち込んだメモリが2020年は同15.0%増と復調することがけん引役になると見られている。また、2021年も半導体全体で同6.2%増と継続的な成長が予想されている。
設備投資については、2019年から2020年前半にかけてDRAM、3D NANDともに低調であったが、2019年後半からロジックやファウンドリが積極的な投資を実施。新型コロナの再拡大や米中摩擦による投資マインドの冷え込みなど見通しに不透明感はあるものの、2020年もロジック・ファウンドリにおいて堅調な投資継続が期待され、2020年後半からは、データセンター需要の増大を背景としたメモリ投資の回復も見込まれるという。
2020年度は半導体もFPDも製造装置はプラス成長へ
2020年度は、半導体製造装置が前年度比7.0%増の2兆2181億円、FPD製造装置も同5.5%増の5020億円、全体で同6.7%増の2兆7201億円とすべてにおいてプラス成長との予測をSEAJは示している。2021年度はFPDが若干の減少となるが、半導体は同10%増と成長を加速するため、全体で同7.0%増の2兆9100億円と予測。2022年度も、全体で同4.5%増の3兆422億円との予測となっており、3兆円の大台に乗るのは、SEAJが統計を開始して以来初めてのことだという。
また、前回の2020年1月版予測では、2020年は同2.7%増、2021年は同9.4%増と予測していたため、2020年7月版では若干下方修正されたこととなる。
2020年度の日本市場における半導体製造装置販売高は、2019年度に投資を抑制していた大手メモリメーカーの復調を見込んで前年度比10.0%増の7657億円とSEAJは予測している。2021年度もイメージセンサやメモリの需要拡大を背景に同8.0%増の8270億円としている。2020年1月版で期待されていた2020年中のイメージセンサへの大型投資は、2021年へ先伸ばしされたようである。
なお、半導体製造装置の日本市場販売額とは、日本企業か外資系企業であるかを問わず日本国内市場での半導体製造装置の販売額の総額を指す値となっている。