Microsoftは6月29日(現地時間)、Windows 10用のファイル復元ツール「Windows File Recovery」の提供を開始した。このアプリは、Windows 10において誤って削除してしまったファイルを復元してくれるもので、コマンドラインベースで動作する。ハードディスクやSSDだけでなく、SDカードやUSBドライブにおけるデータ復元にも対応する。
Windowsでファイルを削除する場合、通常はまず「ゴミ箱」にファイルが移動され、そのあとでコミ箱を空にすることで実際に削除が完了する。この時点でWindowsからはファイルは見えなくなり、通常の手段では復活させることができないが、実際にはストレージ(ディスクやメモリカード)内にまだデータは残っている。
したがって、そのデータが記録されている領域が他のデータによって上書きされない限りは、まだ復旧のチャンスがある。このような状態のファイルを復旧させることができるのが「Windows File Recovery」だ。誤って削除してしまったファイルだけでなく、ディスクの破損によって失われたファイルの復旧にも対応する。
Windows File RecoveryはMicrosoft Storeよりインストールすることができる。ただし、Windows 10本体が5月末にリリースされた「Windows 10 May 2020 Update」以降のバージョンでなければならない。
Windows File Recoveryは、JPEGやPNG、PDF、MPEG、MP3、MP4、ZIP、MS Officeファイルなどといった一般的なファイル形式の復元をサポートしている。通常モードではNTFS形式のファイルシステムにしか対応しないが、"シグネチャーモード (Signature Mode)"と呼ばれるモードにすることで、FATやexFAT、ReFSといったほかのファイルシステムフォーマットに対しても使用できるようになる。
Windows File Recoveryと同様の機能を持ったサードパーティ製のファイル復元ツールは多数存在するが、Microsoftが公式にこの手のツールを公開するのは初めてのことになる。自分でコマンドを入力しなければならないので決して初心者に優しいツールとは言えないが、Microsoftが公式に提供している点は大きな強みと言える。