NTTドコモは6月30日、遠隔地にいる人とVR空間で3Dデザインの共同制作ができる、5Gに対応したソリューション「Virtual Design Atelier(バーチャル デザイン アトリエ)」を、法人向けに提供を開始すると発表した。

自動車などの製造業や、ゲーム・エンターテインメント業界では、複数のデザイナーが各自担当する部分のデザインを制作した後、持ち寄って3D出力し全体像を確認するという業務フローが一般的で、制作過程でのリアルタイムな確認が難しいため、手戻りが発生するなど完成までに多くの時間がかかる現状があるという。

  • 遠隔地のデザイナー同士の共同制作のイメージ

同ソリューションにより、複数拠点にいるデザイナーがそれぞれVRゴーグルとVRコントローラーを用いて行った操作の情報を、同社のクラウドサービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」を介して交換し、その操作によって制作されたデザインをVRゴーグルで見ながら、リアルタイムで3Dデザインを共同制作することが可能になる。

離れた場所で互いのデザインを確認しながら共同制作することができるため、デザイナー間のコミュニケーションが円滑になり、作業工程の削減、生産性の向上につながるとしている。

  • Virtual Design Atelier(バーチャル デザイン アトリエ)システム構成

同ソリューションは、4G(LTE)環境でも利用できるが、5Gネットワークを利用することで大容量の3Dデザインデータを扱うことができ、また低遅延の通信で共同作業を行うことができる。さらに、「ドコモオープンイノベーションクラウド」のオプションである「クラウドダイレクト(※)」サービスを利用して通信端末とクラウド基盤をダイレクトにつなぐため、秘匿性の高いデザインデータを高セキュリティな環境で扱えるという。

なお、3Dデザインにはワコムが提供するGravity Sketch Limitedのソフトウェア「Gravity Sketch Enterprise Edition」を利用し、手書きに近い直感的な操作を実現を可能としている。そのほか、通信回線、モバイルルーター、VR装置などをワンストップで提供を行う。

利用料金については、初期費用が600万円(税別)からで、年間費用が1,400万円(税別)からとなっている。

(※)通信端末とドコモオープンイノベーションクラウド間の通信経路を最適化することで、5Gによる低遅延・高セキュリティ通信を実現する