三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)と、グループ会社の日興システムソリューションズ(NKSOL)は6月30日、AIを活用しソフトウェアの修正案を自動推奨する技術のグループ内へ展開するため、その有効性をNKSOLが開発したプログラムで確認する実証実験を共同で実施したと明らかにした。

金融業界では、デジタルトランスフォーメーションを通じた競争力向上に加え、法規制への厳密な対応に向け、最新テクノロジーを活用したシステム開発の高度化と効率化が求められており、NKSOLは開発中の金融リスク管理ソフトウェアに対して、同技術の実証実験を行い、その有効性を検証。

同技術は、静的解析ツール(ソフトウェアを実行せずに、ソフトウェア中のソースコードを分析するだけで問題点を検出できるツール)で検出された、ソフトウェアの潜在バグへの修正案をAIにより、自動的に生成し開発者へ提示するものだという。

今回、NKSOLが開発中の金融リスク管理を行うソフトウェアで技術の適用評価を行った結果、SMBCグループと富士通の共同検証結果と比較し、抽出された潜在バグの数や種類に差異はあったものの、修正案のうち98.7%は妥当であり、バグの種類にかかわらず修正提案の精度が高いことを確認したとのこと。

新技術はFujitsu Laboratories of America(FLA)と富士通研究所が開発し、静的解析ツールが検出したソフトウェアの潜在バグに対して、あらかじめAIが学習した修正パターンを当てはめながら修正案を自動生成し、開発者に推奨する。

潜在バグは、処理速度に影響を及ぼすものをはじめ、プログラムに誤った動きをさせる可能性があるもの、ソフトウェアの保守や修正を困難にするものなど多岐にわたっており、その修正には開発者が個別に対応方法を検討する必要があることから、多大な時間を要することが課題となっている。

そのため、新技術ではさまざまなソフトウェアの開発履歴データから潜在バグの修正パターンをAIがあらかじめ学習。この修正パターンを開発中のソフトウェアの潜在バグと突き合わせることで、最適な修正案を自動生成し、開発者に推奨する。これにより、バグの修正時間が手作業での修正に比べて最大約30%の削減効果が見込め、ソフトウェア開発・保守の短時間化が期待でき、NKSOLでは今後ソフトウェア開発の効率化および品質向上のために、技術の本格導入を検討する考えだ。