日本電気(NEC)は6月29日、ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」において、従来機と比較し、実装密度を倍増したデータセンター向け新モデル「SX-Aurora TSUBASA B401-8」の販売を開始することを発表した。
「SX-Aurora TSUBASA」は、カード型のベクトルエンジン(VE)を多数搭載した省電力サーバ。科学技術計算や大規模データの高速処理を得意とし、気象予報、地球環境変動解析、流体解析、ナノテクノロジーや新規素材開発などのシミュレーション、AI活用において高い実効性能を実現しているという。
新モデル「SX-Aurora TSUBASA B401-8(8VE)」では、水冷方式を採用し冷却効率を向上することで、搭載するベクトルエンジンを増やすことが可能となり、単位面積あたりの実装密度を従来比で2倍となった。これにより、限られたスペースにスーパーコンピュータを大量導入する用途への対応が強化された。
また、ベクトルプロセッサ処理性能を従来比で25%向上し、サーバ本体のプロセッサとベクトルプロセッサを協調動作させて性能を高める「Vector Host Call」や「Vector Engine Offload」を実装するなど、ソフトウェアによる性能向上を実現した。
NECは同モデルに関して、東北大学サイバーサイエンスセンターから大規模科学計算システムとして受注したことを明らかにした。同大学では、地震・津波・気候変動シミュレーション解析などの防災減災に資する研究開発や、最新の航空機開発など最先端のものづくり分野での利用を予定しているという。
加えて、ベクトルプロセッサ性能を25%向上させた4Uラックマウントモデル「SX-Aurora TSUBASA B300-8(8VE)」(空冷方式)も販売開始する。
価格は、最小構成台数が6台、最小構成VE数が48VEの「SX-Aurora TSUBASA B401-8」(8月末提供予定)が7,000万円(税別)、最小構成台数が1台、最小構成VE数が8VEの「SX-Aurora TSUBASA B300-8」(9月末提供予定)が950万円(税別)。
あわせて、NECは、「SX-Aurora TSUBASA」シリーズの全モデルにおいて、金融業や流通業など、あらゆる業種でAIを活用するために必要な機能を大幅に拡充するとともに、半導体や自動車などの製造業で活用するために必要なアプリケーションソフトウェアの品揃えを拡充。電磁場解析用ソフトウェアや計算化学用ソフトウェアなど合計7種に対応した。