KDDIは6月26日、正社員約1万1000人を対象に就業時間の約2割を目安として自部署以外での業務を経験できる「社内副業制度」を同1日から導入したと明らかにした。自部署とは異なる組織・違った環境の業務に携わることで社員の専門性の探索や習得を加速させるとともに、組織の壁を超えた人財シナジーによるイノベーション創出の機会を増やすことを目的としている。
同制度は組織を超えた活動を推奨する人事制度改革の一環として実施し、イノベーション創出の観点で募集業務を各部署で精査・公表することで、社員が自らの成長の加速につながる業務へ応募。社員、所属部署、社内副業先部署の3者が合意した上で、最大6カ月間社内副業を行い、社内副業先の業務も人事評価の対象となる。
テレワークを積極的に活用することで、現在の勤務地に関係なく応募を可能とし、4月1日から全86業務の募集を行い、63名が2020年6月1日以降順次、社内副業を開始している。
同社では「自分の専門性を磨く場が欲しい」「他の部署を経験したい」という社員からの声があったが、これまでは会社指示による数年ごとの定期異動や兼務という方法が主で、希望に沿った柔軟な対応が困難だったという。今回、同制度を導入することで、社員は自らの希望で募集業務に手を挙げ、定期異動と比較して速く、柔軟に新しい場への挑戦が可能になるとういう。
応募者属性は20代が最多、約2割が東京以外からの応募となり、主な社内副業募集業務例としてはau PAY アプリのスーパーアプリ化に向けた企画業務やICT/IoTを用いて地域の課題解決に取り組む「地域ICT化応援部隊」、業務を自動化・効率化するツールを開発する「アジャイル開発エンジニア」など、社員の専門性や自部署での経験を活かせる業務や、専門性を磨きたいニーズに応える業務が幅広く募集された。
今後、取り組みをグループ全体や社外にも拡大することを検討しており、社内副業を経験した社員が専門性を磨き、成長して所属部署に還元するとともに、社内副業先部署では受け入れた社員の新しい視点による発見や刺激がもとになり、イノベーションが生まれ、グループ全体が成長する、といった好循環を目指す。