SAPジャパン、オービックビジネスコンサルタント、ピー・シー・エー、ミロク情報サービス、弥生の5社は6月25日、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指すことを目的に、社会的システム・デジタル化研究会(通称:Born Digital研究会、代表 岡本 浩一郎)を発足し、「社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言」を発表したと明らかにした。
同研究会は、社会的システムのデジタル化(Digitalization)を通じ、社会全体の効率の抜本的向上を目指すために発足。オブザーバーとして業界団体や行政機関の参加も得ながら合計5回の研究会を開催し「短期的には、標準化された電子インボイスの仕組みの確立に取り組むべき」「中長期的には、確定申告制度、年末調整制度、社会保険の各種制度等についても、業務プロセスを根底から見直すデジタル化を進めるべき」と提言をまとめた。
また、提言を中間成果物として位置づけ、今後は参加メンバーを拡充し議論を継続すると同時に、下部組織として「電子インボイス推進協議会」を7月に立ち上げ、2020年内をめどに電子インボイス(2023年10月1日から複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入され、適格請求書発行事業者は、紙の適格請求書の交付に代えて適格請求書にかかる電磁的記録=電子インボイスを提供することができる)の標準規格を策定し、2021年には具体的なシステムの開発を着手できる状態を目指す。
なお、主な提言内容は以下の通り。
情報通信技術が急速に発展している一方で、日本における現状の社会的システムの多くは戦後に紙での処理を前提として構築されたものの一部の電子化(Digitization)に留まっており、改めてデジタルを前提として業務プロセスの根底から見直すデジタル化(Digitalization)を進めることで、社会全体としての効率を抜本的に向上させ、社会的コストの最小化を図るべきである。
社会的システムのデジタル化による再構築に際して、(1)発生源でのデジタル化、(2)原始データのリアルタイムでの収集、(3)一貫したデジタルデータとしての取り扱い、(4)必要に応じた処理の主体の見直し、の4つのポイントを踏まえるべきである。
短期的には、2023年10月のインボイス義務化に向け、標準化された電子インボイスの仕組みの確立に取り組むべきである。商取引の主体は民間であることから、まずは何よりも民間がメリットを確実に享受できるものとして、民間が主導して標準化、および仕組み構築を進めるべきである。同時に、インセンティブ設計も含め、行政による一定の関与と強力な後押しは不可欠である。
中長期的には、確定申告制度、年末調整制度、社会保険の各種制度等についても、業務プロセスを根底から見直すデジタル化を進めるべきである。主に行政の仕組みであることから、行政が主導すべきであるが、民間も、行政手続きへの対応を要求される立場として、全体最適が実現されるよう、積極的に提言を行い、仕組み構築に際し、その設計から関与するべきである。行政/民間双方での対応が必要とされることから、現実的かつ明確なロードマップを作成し、計画的に、かつ段階的に進めるべきである。