日本IBMは6月25日、日本スポーツ振興センター(JSC: JAPAN SPORT COUNCIL)と共同で、日本卓球協会(JTTA: Japan Table Tennis Association)の協力のもと、AIを活用して試合映像からプレーシーンを自動検出するアルゴリズムを開発するための研究を行ったと明らかにした。自動検出アルゴリズムにより、プレーシーン検出の自動化を実現し、JSCが開発したゲーム戦略の策定に効果的なアプリケーションに実装されたことで、卓球選手のサポート体制の強化に繋がったという。
卓球試合の映像分析を行う際には、試合映像からラリーが行われているプレーシーンのみの抽出や、得点または失点のシーンのみの抽出といった準備をスポーツアナリストが行うが、長時間にわたる試合映像から該当部分を抽出するための作業負荷が大きく、試合映像を数多く分析することが難しくなっていたという。また、10数年前からデータベースに収集し始めた試合映像は、すでに約4万試合に達しているため、AIの技術を活用し、試合映像を効率良くかつ効果的に分析するための方法の確立が求められていた。
今回の研究では、映像がサービスからラリー終了までのラリー中のシーンか、それ以外のラリー外のシーンかを判断するAIモデルをあらかじめ学習し、試合映像をAIモデルで処理することでラリー単位のプレーシーンを切り出すアルゴリズムを開発。
また、同時に試合中の得点情報の自動検出アルゴリズムも開発しており、スポーツアナリストは映像分析に関する作業時間を削減でき、高度な分析に注力したり、より多くの試合映像を分析できたりするなど、ゲーム戦略の策定を強化できるようになるという。
さらに、実際に競技現場で利用するアプリケーションも開発されたことにより、基本的なゲームスタッツとともに必要な場面を映像で振り返ることを可能としている。
なお、今回の研究はIBMの東京基礎研究所のリサーチャーや、IBM Systems製品に特化した先進的なサービスの開発を支援するIBM Systems Lab Servicesのエンジニアが実施した。また、アルゴリズムを開発するサーバとして、IBM Power Systems S822LC for High Performance ComputingおよびIBM Power Systems AC922を使用。両サーバ上にIBM Watson Machine Learning Community Edition(旧名:IBM PowerAI)によるディープラーニングプラットフォームを構築し、アルゴリズム(AIモデル)を開発した。最適化されたディープラーニングプラットフォームを使用することで、モデル学習時間の短縮・学習の効率化を行い、短期間でのモデル開発を可能としたという。