新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のTSC(技術戦略研究センター)は2020年6月24日、新型コロナウイルス後の新しい社会様式の実現に向けたイノベーションの検討を後押しするために、さまざまな情報を整理したTSC Foresight短信レポート「コロナ禍後の社会社会変化と期待されるイノベーション像」を公表した。従来の特定分野の技術開発動向レポートではなく、社会全体でのこれからのイノベーションの在り方を提示する短信レポートになっている。

  • コロナ禍後の社会社会変化と期待されるイノベーション像

    新型コロナウイルス後の想定シナリオ (出所:NEDO公表資料)

そのキーメッセージとして「コロナ禍後は、これまでに社会活動の基盤と考えられてきた人間同士のコミュニケーションや広域な移動、サプライチェーンなどの在り方を再考する必要があることを気づかせ、デジタルシフトなどの"新しい社会様式"への移行と、これによるイノベーション創出が求められている」と総括する。

  • コロナ禍後の社会社会変化と期待されるイノベーション像

    コロナ禍後に産業分野にもたらされる変化のイメージ (出所:NEDO公表資料)

コロナ禍後のイノベーション像の共通キーワードは「リモート、オンライン、分散化、省人化などのデジタルシフト」「レジリエントなエネルギー社会、強靭なサプライチェーンなどの低環境負荷社会への転換」であり、これを基にイノベーション創出の共通技術として「オンライン・コミュニケーション・テレワークによる授業や診断、会議などのオンライン化」「バーチャル会議、オンラインイベント、自動化・省人化によるスマート農業やスマート製造など」「信頼性やセキュリティー、接触抑制技術などのスマート決済インフラや交通手段」そして環境・エネルギー対策として「3R(Reduce、Reuse、Recycleの頭文字)、環境材料、バイオ生産、再生可能エネルギーへの移行、エネルギーシステムの強靭化策など」を例示としている。

NEDOはこのレポートを基に、あらゆる領域で、今後も議論を深め、「イノベーション・アクセラレーター」としての役割を果たしていくとまとめている。