で量産工場の第2期工事の着工式典を開催し、第2製造棟の土木・建設工事に着手したと複数の中国メディアが報じている。

中国・清華紫光集団(Unigroup)傘下のNANDフラッシュメモリメーカーである長江存儲科技(YMTC)が6月20日、武漢市の東湖新技術開発区で量産工場の第2期工事の着工式典を開催し、第2製造棟の土木・建設工事に着手したと複数の中国メディアが報じている。

第2製造棟の生産能力は、月産10万枚(300mmウェハ)で、これにより生産能力は現在の2倍に増強されることとなり、半導体業界関係者からは、今回の拡張工事開始は、中国資本によるNANDフラッシュメモリ量産のめどがたった証ではないかとの見方が出ている。

この拡張工事には、紫光集団、国家集成電路基金第2期(通称大基金:Big Fund)、湖北省科技投資集団、湖北省集成電路基金が共同で投資しているという。つまり、中国中央政府と地方政府か共同出資している。

YMTCは今回の第2期工事に加え、第3期のプロジェクトも推進する計画で、これら3棟のファブがすべて稼働すれば、月産能力は合計30万枚にまで増える見込みである。投資総額は240億ドルを想定しているという。

すでに第1期分の製造棟は2016年末に着工し、稼働も開始しており、32層と64層の3D NANDの生産を行っている。同社は、独自のXtacking技術を導入して差異化を図りつつ、そのメリットを活かしてトップグループ各社に追いつくことを目的に、他社が手掛けている96層をスキップして128層の3D NANDの量産を計画しており、これで一気にトップグループに追い付こうとしている。

競合となるNAND専業のキオクシア(旧 東芝メモリ)は、三重県の四日市工場で第7製造棟の建設を進めているほか、Samsung Electronicsも、中国が入国制限を行っているにもかかわらず500名の技術者、協力会社社員を中国西安に派遣しNAND第2工場の第2期工事を進めつつ、韓国の平澤でも新製造棟の建設を進めているなど、各社が増産体制を構築しようとしており、NAND業界は今後、これまで以上の激戦が予想される。

なお、国策ハイテク投資会社である清華紫光集団は、国家方針である「中国製造2025」がうたう半導体自給自足目差して現在、江蘇省南京市(3D NAND、DRAM)、四川省成都市(ロジックIC、DRAM)でも大規模なメモリ工場の建設を目指しているほか、重慶市(DRAM)や広東省広州市でも半導体工場に対する投資を進める意向を示している。

  • YMTC

    長江存儲科技(YMTC)の本社工場完成予想図。現在は手前の第1期製造棟が稼働中で、この度の第2期工事で真ん中のファブを建設する (出所:YMTC Webサイト)