Box Japanは6月19日、オンラインによる記者説明会を開催した。説明会には米国からBox CEO、共同創業者兼会長のアーロン・レヴィ氏がリモート参加した。
抜本的なオペレーションの刷新が必要
レヴィ氏は「われわれは2005年の創業以来、人と組織の働き方の変革をミッションとしており、これまでほど、このミッションが重要だったことはない。現在の世界は、新型コロナウイルスの影響で3カ月前と比較して大きく変化し、急速な在宅勤務へのシフトが進んでいる。働き方も大きく変化し、在宅の就業時間が従来の就業時間外にシフトし、利用するツールも変化している」との認識を示す。
これらの状況は未来の働き方を変えていくものであり、オフィスでの9~5時の定時勤務からアジャイル、リモートワーク、非同期業務からリアルタイム業務、手紙、紙ベースのプロセスからデジタル化、自動化されたワークフローへの変化、柔軟性のない一体型ツールから統合されたベストオブブリードのアプリ、ネットワークの境界の保護からデータのフローを保護することにつながるという。
レヴィ氏は「このような変化に対して、適応する企業こそが今後も生き残り、成長していく。古い技術やプロセスを新しい環境で使うことではなく、どのように共有し、コラボレーションを行い、ビジネスを変革していくかについて考える抜本的なオペレーションの刷新が必要となる。これらの中心にあることは。コンテンツをいかに活用するかということだ」と強調する。
金融サービスであれば顧客データや財務記録、ライフサイエンスは薬物構造、治験データ、メディア&エンターテイメントは未公開アルバム、映画のシナリオといったものがコンテンツとして該当するが、従来型のコンテンツ管理手法では障壁になると、同氏は話している。
従来型では、現代的なユーザーインタフェースや社外コラボレーション機能を備えていないほか、柔軟性が乏しく維持コストが高く、ファイル共有は各業務固有のプロセス・アプリと機能連携しない、ワークフローを自動化できない、高度なセキュリティ・ガバナンス機能が欠けているという。
同氏は「必要なものはコンテンツ、ワークフロー、コラボレーションをセキュアに一元管理できるプラットフォームであり、それがBoxのクラウドコンテンツ管理だ。ユーザーはシンプルに作業でき、IT部門はコンテンツの保護と管理を可能としている。ファイル/フォルダ、メタデータ、コラボレーション、ワークフローなどを1つのプラットフォームで管理でき、セキュリティとコンプライアンス制御を提供できる」と説明する。
そして、同社のクラウドコンテンツ管理における3つのポイントとして「フリクションレスなセキュリティとコンプライアンス」「シームレスな社内外のコラボレーションとワークフロー」「さまざまな業務アプリとの機能統合」の3つ挙げている。レヴィ氏は「世界のオフィスがいつ再開するかは判断がつかないが、未来において分かっていることは、従業員がどこからでも、時間を問わず、誰とでも働くことができるようになる。われわれとしては、これからも継続的に日本企業の変革を支援していきたいと考えている」と力を込めていた。
リモートワークを支えるBoxのサービス
レヴィ氏に続き、Box Japan 代表取締役社長の古市克典氏が同社のサービスについて説明した。まず、同氏は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレワーク/リモートワークが本格化した企業が抱える悩みとして「社内のファイルサーバーに複数のクラウドサービスを追加するなど、企業・組織内でコンテンツが分散している」と指摘。
こうした状況に対し、同社のサービスは他社のシステムやサービスなどと連携でき、コンテンツを容量無制限のスペースで一元管理することで使い勝手とセキュリティの両立を可能にしているほか、コンテンツとアプリの分離により、あらゆるアプリを利用することができるという。
そして、古市氏は最近アップデートした「All-New Box」「Box Relay」「Box Shield」の3つのサービスについて触れた。
All New Boxは5月に発表し、ユーザーインタフェースを最適化することでレスポンスを向上。コレクションは、よく使うファイルのショートカットをツリー構造で整理し、即アクセスでき、今後はさまざまなファイル上に注釈を追加できるアノテーション機能や、作業中のファイルからZoomアプリの起動を可能にしていく。
また、昨年7月に発表したBox Relayは、ワークフローの自動化を可能とし、ファイル/フォルダにアクションが行われると、それを契機に次のアクションを自動で行う。例えば、外部ベンダーから契約書を受け取り、担当者や法務などがチェックし、上長が保管するプロセスの自動化が図れるという。古市氏は「これまではハンコが主だったため、リモートワークでRelayの利用が急増した」と話す。
さらに、Box Shieldはゼロトラストを念頭に置き、ファイル/フォルダへのアクセスを細かく制御することを可能としている。社外共有の可否やダウンロード/印刷の可否などを事前に設定することで、作業ミスをシステムで防ぐ。加えて、機械学習により、異常なダウンロードや不信なセッションなど疑わしいアクセスや行動を検知するという。
最後に古市氏は「国内のテレワーク/リモートワーク需要に応え、相談会などを実施した結果、官公庁・自治体、金融も含めた中堅・中小企業間においてBoxの市場が拡大している」と、述べていた。