韓Samsung Electronicsは6月18日(米国時間)、クラウドベースのエンタープライズ高性能コンピューティング(HPC)サービスプロバイダである米Rescaleと協業して、Samsung Foundryのファブレス顧客向けのクラウドベース設計プラットフォーム「Samsung Advanced Foundry Ecosystem(SAFE)Cloud Design Platform(CDP)」を発表した。
Samsung Foundryは、韓国内の中小ファブレスの競争力強化を支援することを目的に、半導体設計を行うための環境整備を進め、中小ファブレスからの生産受託を増やすことで売り上げを伸ばす戦略を採用したようだ。Samsungは、韓国政府が掲げる非メモリ半導体を強化する方針に沿って、2030年までに133兆ウォンの投資を行うとの長期計画「半導体ビジョン2030」を2019年4月に発表しており、今回の設計プラットフォームの提供もその一環と思われる。
クラウド経由で簡単に設計プラットフォームにアクセス
SAFEクラウド設計プラットフォームの第1弾は、クラウド環境でチップを設計するための仮想環境を提供することとなる。ファブレスなどの顧客はクラウド経由でこのプラットフォームにアクセスすることで、いつでもどこでもすぐに設計を開始できるようになる。
SAFE CDPは、顧客の設計の利便性を最大化するために、クラウド企業で検証された安全な設計環境がサポートされているほか、AnsysやCadence、Mentor、Synopsysなどの複数のソフトウェアベンダが提供するさまざまなEDAツールを利用こともできるという。
クラウド活用で設計にかかる時間を削減
Samsung Foundryの設計ソリューションパートナーの1社であるGaonchipsは、CadenceのInnovus Implementation Systemを使用して14nmプロセスを採用した車載半導体プロジェクトでSAFE CDPをすでにテストしており、自社内設備上での実行と比較して、設計所要時間を30%削減できたという。
半導体設計がどんどんと複雑化し、設計に必要とされる計算能力も増大し、オーバーヘッド時間と設計コストの増加が課題となっている。しかし、SAFE CDPを採用することで、チップの設計と検証に必要となる追加の計算能力を柔軟に利用しながら、独自の設計インフラを構築する負担を軽減できるようになる。
なお、SamsungのFoundry Design Platform DevelopmentのエグゼクティブバイスプレジデントであるJae-hong Park氏は「Rescaleと共同開発したこの設計プラットフォームは、ファブレス業界が効率的なクラウドベースの設計環境を活用する未来に向けて重要な役割を果たすことを期待している。我々はSAFEのエコシステムを強化することを継続して行っていくことで、顧客に使いやすさと設計効率の向上を提供することを目指し、パートナーと協力していく」と述べている。