太陽が手前の月に遮られて一部が欠けて見える「部分日食」が21日夕、日本全国で起こる。次に全国で日食が起こるのは10年後で、大半の地域で当分見られないことから、梅雨時だが天気に恵まれればぜひ観望しておきたい。観望には専用の日食グラスが必須だ。アフリカからアジアにかけての一部では、太陽と月が重なる際に月の周りから太陽がはみ出して見える「金環日食」となる。
国立天文台の資料によると、夏至にあたるこの日、部分日食が西の空で、東京では午後4時11分13秒に始まり、5時10分12秒に太陽の見かけの面積の最大36パーセントが欠けた状態となり、6時3分43秒に終わる。札幌では5時0分56秒に同18パーセント、京都で5時9分58秒に同42パーセント、那覇で5時16分41秒に同79パーセントと、南の地点ほど大きく欠ける。
国内では昨年12月26日にも部分日食があったが、全国的に天気に恵まれず観測が困難だった。次は2023年4月20日の部分日食だが、欠けている様子が分かるほど見られるのは沖縄、小笠原などごく一部地域に限られる。次に全国で日食が起こるのは30年6月1日で、北海道の広範囲で金環日食、その他で部分日食となる。太陽が月に完全に遮られる「皆既日食」が次に日本で見られるのは2035年9月2日だ。
日食は太陽と月、地球が一直線上に並び、新月が太陽を覆い隠して起こる。ただし地球から見た月の通り道(白道)が太陽の通り道(黄道)に対して少しずれているため、新月の時に必ず日食になるわけではない。白道と黄道の交点の近くで新月になる時だけ起こる。月が地球に落とす影の範囲が限られるため、見える地域は限られる。これに対し、月食は月面に地球の影が落ちる現象なので、月が見える場所ならどこでも見られる。
観望にあたって太陽を肉眼で直接見ることは、目を傷めるため厳禁だ。まぶしいと感じる可視光だけでなく紫外線や赤外線を確実に遮る性能が求められ、日食用のグラスなど専用の観察器具を使う必要がある。古い書籍などに「サングラスをかけて見ましょう」「感光した白黒フイルムを2枚重ねて」などの記述もあるが、今日では危険とされている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止のため遠出は控え、他人との接触を極力避けるよう注意したい。
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