初のバーチャル開催となった「de:code 2020」
2020年6月16日(日本時間)、日本マイクロソフトによるテクニカルカンファレンス「de:code 2020」がスタートする。もともとは5月に行われる予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状を考慮して、オンラインのデジタルイベントとして形を変えて開催されることになった。開催期間は6月16日から30日までの14日間。スケジュールを気にせずにセッションの視聴などができるオンデマンド形式のイベントであり、8トラックで合計100以上のセッションが提供される。
イベントの参加者は、Azureプラットフォーム上に用意された特設のバーチャルイベント会場でde:code 2020を楽しむことができる。バーチャル会場には3D空間のラウンジやセッション部屋が用意されており、スポンサーブースを訪れたり、セッションのストリーミング配信を視聴したりすることが可能になっている。バーチャル会場を用意することでリアルなイベントに近い体験を提供しようとしている点が、一般的なビデオ配信形式のオンラインイカンファレンスとは大きく異なっている。
テクニカルセッションは、17日に公開された基調講演を皮切りに、30日にかけて順次公開されていく。配信が開始されるタイミングはセッションによって異なるが、一度公開されたセッションは、オンデマンドでいつでも自由なタイミングで視聴することができる。イベント終了後も、7月1日から8日までの間はセッションのオンデマンド配信が続けられるとのことだ。
日本マイクロソフトでは、このde:code 2020に合わせてFIXERと共同でバーチャル・イベントプラットフォームを開発した。基調講演を含めすべてのセッションはMicrosoft Azure上に構築されたバーチャル会場でオンデマンド・ストリーミング形式で提供され、期間中はいつでも好きなセッションを視聴することができる。
基調講演のテーマは「Power of Tech Intensity」で、最先端の技術トレンドが最新の事例を交えて紹介される。そのほかのテクニカルセッションは、次の8つのテーマから構成されている。
- Apps and Infrastructure
- Business Applications
- Community
- Data and AI
- Modern Workplace
- Security
- Mixed Reality and IoT
- Advancing Tech Intensity
開催期間中には、特別ゲストの登場などといったサプライズや、コミュニティイベントの開催なども予定されているとのことだ。
de:code 2020のバーチャルイベント会場
それでは、新たに開発されたというde:codeのバーチャルイベント会場の様子を見てみよう。イベント会場に入るには、MicrosoftアカウントかGitHubアカウント、またはLinkedInアカウントのいずれかが必要だ。3Dビューと2Dビューのいずれかで視聴することができる。3Dビューのほうがよりリアルなイベント会場に近い体験を得られるが、推奨スペックが以下のようになっており、これを下回る環境やスマートフォンから参加する場合は2Dビューを利用することになる。
- CPU: Intel Code i5 / AMD Ryzen 5 以上
- メモリ: 4GB 以上
- 推奨ブラウザ: Microsoft Edge / Google Chrome ※最新版
- ディスプレイサイズ: 1920px × 1080px 以上
イベント会場内では、6つのアバターから好きなものを1つ選んで使用する。
イベント会場内には、「ラウンジ」「EXPO」「セッション」の3つのモードが用意されている。
ラウンジはイベント会場の入口にあたるもので、参加者のアバターは最初にここを訪れることになる。会場内には他の参加者のアバターも表示される。実際には1万人以上の人が同時に参加することも考えられるが、バーチャル空間上で表示されるアバターは最大でも数十人ほどに調整されるとのこと。また、参加者同士でコミュニケーションを取ることはできない。
EXPOは展示会場となっており、リアルなイベントのようにスポンサーブースが立ち並ぶ。ブースを訪れると、そこからコンテンツの視聴やダウンロード、担当者とのTeamsを使った会話などが行えるようになっている。
各セッション会場へは、セッション一覧から移動する。Microsoftのイベントでよく見られるようなレイアウトになっており、部屋の中を自由に移動して好きな位置から見られるようになっている。オンデマンド配信なので、見たいセッションの時間が被っていて見逃してしまうような心配はない。
2カ月で構築されたバーチャル・イベントプラットフォーム
日本マイクロソフトは、de:code 2020のバーチャルイベント会場を構築するにあたって、株式会社FIXERと共同でAzureで動作するバーチャルイベントプラットフォームを新たに開発したという。オンライン開催になることが決定してから急遽開発がスタートしたため、開発期間はわずか2カ月強。この2カ月強の間に、ベースとなるプラットフォームの開発から、セッションの収録に至るまでのすべての作業を完了させたという。
COVID-19の環境下では、1つの場所に集まっての開発は行えない。そこで、Azureの持つ機能やMicrosoft Teamsによるコミュニケーションを最大限に活用し、リモート環境下でDevOpsを取り入れることで、自宅や遠隔拠点での効率的な開発を実現したとのこと。
FIXERでは今後、このバーチャル・イベントプラットフォームをもとに機能を追加し、他社に対しても有償で提供することを計画している。追加で実装予定の機能としては、物販や決済機能や、EXPOブース機能の強化などがあるそうだ。また、現状では参加者同士のコミュニケーションには対応していないが、将来的には実装を検討したいとの話だった。
日本マイクロソフトでは、9月までに予定している同社主催のイベントはすべてオンラインで開催とすることを決定している。その後のイベントについてはCOVID-19の状況を見ながら検討することになるが、オフライン開催が難しい状況はまだまだ長引く可能性が十分にある。そのような中で、今回開発したバーチャル・イベントプラットフォームを大いに活用して、リアルと同じような体験を提供できるように努めていきたいとのことだ。