TrendForceは6月10日、2020年第1四半期の半導体ファブレスIC設計会社の売上高ランキング・トップ10を発表した。それによると、米Qualcommがトップに返り咲いたという。
Qualcommは、激しい市場競争と米中貿易戦争の影響で、2019年末まで過去6四半期にわたって前年同期比でマイナス成長が続いていたが、2020年第1四半期には効果的な5G製品拡販戦略とテレワークや遠隔学習の需要が大幅に増加したのに助けられ、売上高が前年同期比10%増とプラスに転じた。また、2位に後退したBroadcomは、Qualcommと同様の理由で過去5四半期に渡って前年同期比でマイナス成長となっている。
TrendForceシニアアナリストのCY Yao氏は、「2020年第1四半期においてQualcommは、中国のスマートフォン(スマホ)ブランドのフラッグシップモデルやハイエンドモデルに採用された。また、5G RFフロントエンド製品の採用も増加。これらの要因と新型コロナウイルスの流行によるネットワーキング製品への需要の増加が相まって、プラス成長に転じた。ただし、Broadcomは、米中貿易戦争とそれに伴うエンティティリストポリシーにより中国向け出荷が減ったのに加えて、Apple iPhone向けの製品出荷が減少しており、前四半期並みの売上高を維持できなかった」とトップを争う2社の動向を分析している。
2020年第1四半期でもっとも高い成長率を達成したのは米国を拠点とするNVIDIAとAMDで、NVIDIAは前年同期比39.6%増、AMDは同40.4%増と急成長と言える伸びを見せた。NVIDIAはゲームグラフィックスカードとデータセンターからの需要増加の恩恵を受けた。一方のAMDは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワーク用途に向けたPCの需要の増加に加えて、7nm CPU製品群による売上高の増加が奏功したという。逆にXilinxは、米中貿易戦争の影響を受け、前年同期比8.7%減となり、2四半期連続でマイナス成長となり、これは2016年以来のことだという。
なお、このランキングは、業績を公表しているファブレスIC設計会社のみを取り上げたものであり、Huaweiの子会社HiSiliconや、清華紫光集団の子会社であるUNISOCなどは含まれていない。また、Qualcommの売り上げには、主力ビジネス分野であるQCT(Qualcomm CDMA Technologies)の売り上げを含むが、全体の2割強を占めるQTL(Qualcomm Technology Licensing)分野の売り上げは直接的な半導体販売による売り上げではないので除外しており、Broadcomの半導体事業以外の売り上げやNVIDIAのOEM/IP事業収入も除外しているという。