FRONTEOは6月12日、独自開発の自然言語処理AIエンジン「KIBIT(キビット)」を活用し、児童虐待の兆候を早期に検知するためのソリューションの提供を開始すると発表した。 「KIBIT」は、過去の例や経験者の勘・感覚といった「暗黙知」をもとに選んだ文書を“教師データ”として与え、文書の特徴を学習させることで、その判断軸に沿って見つけたい文書を抽出することが可能。
近年、児童虐待は検挙数、相談対応件数ともに年々増加しており、全国212カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は2018年度で15万9,850件(※1)だったという。一方で、増員が急務となっている児童福祉司は、2017年度の約 3,240 人から2022年度までに全国で2,020 人程度増員される(※2)ことが決まっているように、児童虐待の問題は急増する相談件数への対応も大きな課題の1つとなっている。
(※1) 厚生労働省 平成30年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数<速報値> (※2) 厚生労働省児童虐待防止対策体制総合強化プラン
同ソリューションでは、相談記録や面談記録などから実際に児童虐待と認定された相談内容や重篤化したケースの相談内容を教師データとし、AIが児童福祉司や相談対応者の判断軸を学ぶ。そして、自治体や児童相談所で受け付けた虐待に関係する可能性がある相談記録や家庭訪問での面談記録のテキストを解析するという。
「KIBIT」は教師データの文章に類似度が高い文章から順番に並べ替えることができるため、相談対応者は早期に対応が必要な可能性のある重要な記録から順に確認していくことが可能になる。これにより、児童虐待の可能性があるケースを見逃すことなく、早期対応を支援することで、相談対応業務のAIによる高度化につながるとしている。
また、同ソリューションは各自治体や児童相談所のニーズに合わせた設計が可能であり、抽出したい判断軸を調整することで、児童虐待に関する相談内容を受け付ける、さまざまな段階に応じた設計が可能とのことだ。