矢野経済研究所が発表した国内の働き方改革ソリューション市場の調査結果によると、2020年度の働き方改革ソリューション市場規模は、2019年度と比べて11.0%増の5186億円になるという。

  • 働き方改革ソリューション市場規模の推移と予測

2019年度の国内働き方改革ソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は、2018年度と比べて6.0%増の4673億円だった。

2019年度は、2020年に開催予定だった東京オリンピック・パラリンピックへの対応として、東京都に事業所を構える企業を中心にテレワーク環境の整備が本格化した。

また、2019年9月に日本に上陸した台風15号では、関東地方のJR・私鉄各社が計画運休を実施し、物理的に出社できない状況になったことで、事業継続性(BCP)の観点から各種働き方改革ソリューションを検討する企業が増加した。

中小企業では、2020年4月から働き方改革関連法における時間外労働の上限規制の適用対象となったことから、労務可視化・勤怠関連ソリューションなどを中心に導入が進んだという。

2020年度の国内働き方改革ソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は、2019年度と比べて11.0%増の5186億円、2022年度には5898億4000万円に拡大すると同社は予測する。

今後は、新型コロナウイルス感染症への対策が働き方改革ソリューション市場に大きな影響を与えると同社は見ている。

政府による新型コロナウイルス対策の基本方針や緊急事態宣言の発出などにより、2020年3月以降は在宅勤務を主とするテレワークの実施が急速に拡大。それに伴い、Web会議システムを始めとして、社内SNS・ビジネスチャットやシンクライアント・クライアント仮想化(VDI)、オンラインファイル共有サービスなどの導入が拡大している状況にあるという。

在宅勤務に加え、オンライン授業やオンライン営業などの社会経済活動のIT化・デジタル化の注目度が高まっていると同社は指摘する。

緊急事態時の事業継続性(BCP)の観点からも、企業や教育機関などにおける今後のIT投資の拡大が見込まれる中で、働き方改革ソリューション市場は拡大基調にあると同社は考えている。